“臭”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
にお30.4%
くさ28.9%
におい17.1%
にほひ6.5%
にほ5.3%
くせ5.3%
2.0%
かざ1.3%
くそ1.0%
しゅう0.8%
いき0.3%
かおり0.3%
くさみ0.3%
ぐさ0.3%
カマリコ0.3%
ニホヒ0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
彼等はその何処からでも、陸にある「自家うち」の匂いをかぎ取ろうとした。乳臭い子供の匂いや、妻のムッとくる膚のにおいを探がした。
蟹工船 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
そんなに不快なほどにくさくはないが、ややもすれば船よいを感じさせる機械の油の匂いを連想させるような微かな臭味が鼻を打った。
一種、眼のくらみそうなにおいが室内にみなぎって、周蔵は起上って坐っていたが、私の入って来ると同時にまたごろりところんでしまった。
黄色い晩 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それよりも彼がそれ程に苦心をした飯は、何か用具について居たのか、彼の手にあつたのか、とにかく石油のにほひが沁み込んで居た。
北海道に來てから感じた——而もそれが渠の刹那々々の生命に吸收されてゐたと思ふ——新しいにほひと色とを思ひ浮べる。
泡鳴五部作:05 憑き物 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
そんでまたでもはたけでもかぶつたとこみづてからくさつてるもんだからくせえことがまたはなしにやなんねえや、作物さくもつばかしこまんだとおもつたら
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
この三本の松の下に、この灯籠をにらめて、この草のいで、そうして御倉さんの長唄を遠くから聞くのが、当時の日課であった。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
此凄まじい日に照付られて、一滴水も飲まなければ、咽喉のどえるをだま手段てだてなくあまつさえ死人しびとかざ腐付くさりついて此方こちらの体も壊出くずれだしそう。
「拙が腕をニューと出している所へ古褌ふるふんどしけやした——随分くそうげしたよ——……」
琴のそら音 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
きず持つ足の千々岩は、今さら抗議するわけにも行かず、倒れてもつかむ馬糞ばふんしゅうをいとわで、おめおめと練兵行軍の事に従いしが、この打撃はいたく千々岩を刺激して
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
糸七は聞くより思わずわなないた。あの青大将が、横笛を、いきを浴びても頬が腐る、黒い舌に——この帯を、背負揚しょいあげを、襟を、島田を、張襦袢ながじゅばんを、肌を。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その時は熊の胆の色が少しくれないを含んで、咽喉を出る時なまぐさかおりがぷんと鼻をいたので、余は胸を抑えながら自分で血だ血だと云った。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
蒲團ふとんぬらあせくさみはないた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
のびをして、ものぐさそうに椅子から立ちあがった。
キャラコさん:01 社交室 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
田打櫻タウヂざくらハナコでも、蕗臺バキヤタヂハナコでも、彼處アコ田畔タノクロガラ見れバ花見はなみコだデバせ。弘前フロサギ公園地こうゑんち觀櫻會くわんあうくわいだけヤエにお白粉しろいカマリコアポツポドするエンタ物でネエネ。フン! 二十六にじふろくオドタテ何ア目ぐせバ。
地方主義篇:(散文詩) (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
幽顕カクリウツシ(?) 一重の蝉のハネへず。人のニホヒもたぬ吾まなこには
橘曙覧評伝 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)