“かおり”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
46.5%
36.8%
芳香5.2%
香気5.2%
2.6%
薫香1.3%
香織1.3%
0.6%
香折0.6%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
眼のふち清々すがすがしく、涼しきかおりつよく薫ると心着こころづく、身はやわらかき蒲団ふとんの上に臥したり。
竜潭譚 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
残燈ありあけ暗く床柱とこばしらの黒うつややかにひかるあたり薄き紫のいろめて、こうかおり残りたり。
竜潭譚 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
このたびは花漬なけれど、やみはあやなしあやにくに梅の花のかおりは箱をれてする/\とまくらに通えば
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
そして、そこの酒場は影のような人々で一ぱいですし、その人々はまた、土のかおりと官能の夢しか何ひとつ持ち合せがないのです。
踊る地平線:11 白い謝肉祭 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
血の異臭と、線香の芳香かおりが暗い部屋の中に息苦しい程みちみちた。その中に座り込んだ与一は仔細らしく両手を合わせた。
名君忠之 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
その眼の前に泣き濡れた、白い顔が迫って来た。せかえる女性の芳香かおりと一所に……。
斬られたさに (新字新仮名) / 夢野久作(著)
板敷きになった酒店の方から酒の香気かおりの通って来る広い囲炉裏ばたのところで、しばらく半蔵は遺族の人たちと共に時を送った。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
売り出した新酒の香気かおりは、伊之助が宿役人のはかまをぬいで前掛けにしめかえるところまで通って来ていた。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
しかしこの『茶の本』は人心の機微に立脚した文字で長くそのかおりを世に残すにたる檀香だんこうとも言うべきもの。
茶の本:01 はしがき (新字新仮名) / 岡倉由三郎(著)
私たちの休んでいる待合の中央の入口から洋服の紳士が、靴音高く入って来た。えならぬ物のかおりがして、花やかなすそ灯影ほかげにゆらいだと思うとその背後から高谷千代子が現われた。
駅夫日記 (新字新仮名) / 白柳秀湖(著)
暇さえあれば、留守を狙ってヘミングウェー嬢の部屋へ忍び込み、部屋に残っている薫香かおりに鼻をうごめかしたものです。
一週一夜物語 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
音もなく、薫香かおりもなく、まして形はなく、ただ感じ得る者のみが感じる「気」なのである。
日は輝けり (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
いまでも香織かおりとはえず通信つうしんいたしまするし、またたまにはいもいたします。
『それはみなわたくしの不心得ふこころえめでございます。』と香織かおり面目めんぼくなげにかたるのでした。
その時は熊の胆の色が少しくれないを含んで、咽喉を出る時なまぐさかおりがぷんと鼻をいたので、余は胸を抑えながら自分で血だ血だと云った。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
一行の中には元は何十石取の御家人で、南郷綾麿の隣に住み、母と一緒にささやかな手内職をしている、花崎某はなざきなにがしの娘香折かおりも交って居りました。