“馨”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
かんば15.4%
かお12.8%
かおる12.8%
かおり10.3%
かを7.7%
かぐわ5.1%
かをる5.1%
かん5.1%
にお5.1%
カンバシ5.1%
けい2.6%
かぐ2.6%
かほ2.6%
かをり2.6%
こう2.6%
にほ2.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
その廠の中にも技術者もあることだから、そういう人たちはどうしているのかと聞いてみると、病状は大いにかんばしくない。
千里眼その他 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
「三十而立塩田子。言行寡尤徳惟馨。」〔三十ニシテ立ツ塩田子/言行とがすくなク徳かおル〕随斎はその時二十八歳であったのである。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
井上(かおる)大蔵少輔、渋沢(栄一)大民権大丞あての書簡から、次の部分を引用しましょう(以下候文を現代文に翻訳した)。
明治の五十銭銀貨 (新字新仮名) / 服部之総(著)
しかしこの『茶の本』は人心の機微に立脚した文字で長くそのかおりを世に残すにたる檀香だんこうとも言うべきもの。
茶の本:01 はしがき (新字新仮名) / 岡倉由三郎(著)
言はば東洋の草花くさばなかをりに滿ちた、大きい一臺の電氣機關車です。
露訳短篇集の序 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
もろもろの花は地にあらわれ、鳥のさえずる時すでに至り、班鳩やまばとの声われらの地にきこゆ。無花果樹はその青きを赤らめ、葡萄ぶどうの樹は花さきてそのかぐわしき香気をはなつ。
義雄は、弟のかをるきりの火葬場へ行くつもりで、直ぐ支度をして來いと云ふ使ひを出してから、先づ知春の室に行つた。
優しい銀緑色の清純なかんばしさ、重さ、燦めきが堆団マスとなっていちどきに感覚へ溢れて来る。
わが五月 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
戸外そとに向かって窓がある。その窓縁にも昆虫の図が、非常に手際よく彫刻ほられてある。窓を通して眺められるのは、前庭に咲いている花壇の花で、ほのかな芳香がにおって来る。
神秘昆虫館 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
梅花タリ金鏡転シテ庭上玉房カンバシ
粕谷かすやの夫妻は彼女を慰めて、葛城が此等の動揺はまさに来る可き醗酵はっこうで、少しも懸念す可きでないとさとした。然しおけいさんの渡米には、二念なく賛同した。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
真夏ではあったが夜は涼しく、それにかぐわしい磯の香はするし、この辺に多く住んでいる鵜が、なまめかしく啼いたり羽搏きをしたりして、何んとも云えない風情であった。
十二神貝十郎手柄話 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
知らぬものは真の文雅ぶんがとおもひ、とひよるさへも多ければ、たちま諸国しよこくにもそのの名をかほらせ、枝葉えだはさかえ、それのみか、根堅ねがた名園めいゑんのこして年々ねん/\繁昌はんじやう、なみ/\の智恵ちゑ
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
異花のかをりのやうなにほひを放つ燈火に火を点じると、直に森に行つて、榛からは青葉の枝を切り、小さな岩がなだらかな砂と粘土とに移つてゐる島の西岸からは、燈心草の大きな束を刈り始めた。
成程お勢はまだ若い、血気もいまだ定らない、志操もあるいは根強く有るまい。が、栴檀せんだん二葉ふたばからこうばしく、じゃは一寸にして人を呑む気が有る。文三の眼より見る時はお勢は所謂女豪じょごう萌芽めばえだ。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
さもたり。ちかづくまゝに。にほは。そもかう款貨舖ぐやの。むすめかも。ゆびはさめる。香盆かうばこの。何爲なにことなりや。時々とき/\に。はなかさして。くめるは。
「西周哲学著作集」序 (旧字旧仮名) / 井上哲次郎(著)