“にほひ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ニホヒ
語句割合
29.7%
25.4%
14.1%
7.0%
臭気7.0%
香気4.3%
香氣2.7%
臭氣2.7%
2.2%
0.5%
体臭0.5%
嗅気0.5%
惡臭0.5%
或香0.5%
0.5%
芳香0.5%
香料0.5%
馨香0.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
又某甲若し眼を失つたと假定すれば、視界は滅し、鼓膜を破つたとすれば、聽界は亡び、齅神經の障害を得ればにほひの世界は滅する。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
それに今まで聞えなかったかすかな音もみんなはっきりわかり、いろいろの木のいろいろなにほひまで、実に一一手にとるやうです。
よく利く薬とえらい薬 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
かれはどつかりすわつた、よこになつたがまた起直おきなほる。さうしてそでひたひながれる冷汗ひやあせいたが顏中かほぢゆう燒魚やきざかな腥膻なまぐさにほひがしてた。かれまたあるす。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
何処どこの山から来た木の葉か?——このにほひいだだけでも、壁をふさいだ書棚の向うに星月夜の山山が見えるやうである。
わが散文詩 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
暫時しばらく其処の暖炉ストーブにあたつて、濡れた足袋を赤くなつて燃えて居る暖炉ストーブ自暴やけこすり付けると、シユッシユッと厭な音がして、変な臭気にほひが鼻をつ。
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「叔父さん、これを御覧なさい、甘い椿のやうな香気にほひがするでせう。」とお栄はチュウリップの咲いた鉢を持つて来て見せた。
出発 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
吾等われら上陸じやうりくしたへん自然しぜんまゝなる芝原しばゝら青々あをあをとして、其處此處そここゝに、れぬ紅白こうはくさま/″\のはな咲亂さきみだれて、みなみかぜがそよ/\とくたびに、りくからうみまでえならぬ香氣にほひおくるなど
市街の大半を占めてゐる燒跡には、假屋建ての鑿の音が急がしく響き合つて、まだ何處となく物のくすぶ臭氣にほひの殘つてゐる空氣に新らしい木の香が流れてゐた。
札幌 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
ふかきにほひぞ身に逼る。
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
の方にうるはしき声して、此の軒しばし恵ませ給へといひつつ入り来るを、あやしと見るに、年は廿はたちにたらぬ女の、顔容かほかたち三一かみのかかりいとにほひやかに、三二遠山ずりの色よききぬ
まらうどあるじもともにゑひごこちなるとき、真女子まなごさかづきをあげて、豊雄にむかひ、八八花精妙はなぐはし桜が枝の水に八九うつろひなすおもてに、春吹く風を九〇あやなし、こずゑ九一たちぐくうぐひす九二にほひある声していひ出づるは
さうしてわかいをとこつよ体臭にほひをいらだたす。
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
階段の側にむせるやうな石炭や油の嗅気にほひたゞよつたコック場のドアがあり、此方側の、だらしなく取散らかつた畳敷の女給溜りには、早出らしい女給の姿もみえて、その一人が立つて来て
のらもの (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
知れるが如く親族とても惡臭にほひに寄る春蠅の樣に、追ふがうるさきほどの人々なれば力になる者とてもなく、あはれ思ひは雲井にまで昇れど、甲斐なき女の手に學士の號をも取らせかねて
花ごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そこには漂つてゐる或香にほひがあつた。私は直ぐそれを嗅覚と心霊とに感じた。何と言つたらいゝか其にほひは、今が今まで吸つて来た外の空気とは、まるきり、異つてゐた。天井は高かつた。
トラピスト天使園の童貞 (新字旧仮名) / 三木露風(著)
建物の後は、にれやらならやら栗やら、中にうるしの樹も混ツた雜木林で、これまた何んのにほひも無ければ色彩も無い、まるで枯骨でも植駢うゑならべたやうな粗林だ。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
貴殿の御武勇を以て此事を行ひ賜はらば一代の御栄燿ごええう、正に思ひのまゝなるべしと、言葉をつくして説き勧むるに、われ、香煙の芳香にほひにや酔ひたりけむ。一議に及ばず承引うけひきつ。
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
船中せんちゆうあさ食事しよくじは「スープ」のほか冷肉れいにく、「ライスカレー」、「カフヒー」それに香料にほひつた美麗うるはしき菓子くわし其他そのほか「パインアツプル」とうきはめて淡泊たんぱく食事しよくじで、それがむと
馨香にほひはされど驚きて
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)