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香気
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にほひ
ふりがな文庫
“
香気
(
にほひ
)” の例文
旧字:
香氣
紳士はそれを聞くと、黙つて婦人を連れて窓際の
小卓
(
こづくゑ
)
に案内した。
卓
(
つくゑ
)
の上には
真紅
(
まつか
)
な花が酒のやうな甘つたるい
香気
(
にほひ
)
を漂はしてゐた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「叔父さん、これを御覧なさい、甘い椿のやうな
香気
(
にほひ
)
がするでせう。」とお栄はチュウリップの咲いた鉢を持つて来て見せた。
出発
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
見るとお母様は
直
(
すぐ
)
に隣りの金持ちの裏の畠から桑の葉を千切つて来て
床
(
とこ
)
の上に撒いて遣りますと蠶は
皆
(
みな
)
桑の葉の
香気
(
にほひ
)
を慕ひ寄つて来ましたから
床
(
とこ
)
の上に仕切を
金銀の衣裳
(新字旧仮名)
/
夢野久作
(著)
然し、私は日本酒だけは、どうしても口にする気がしないです……
香気
(
にほひ
)
を嗅いだ丈けでも
慄然
(
ぞつ
)
とします。
一月一日
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
あをうみの 底にひそめる
薔薇
(
ばら
)
の花、とげとげとしてやはらかく
香気
(
にほひ
)
の
鐘
(
かね
)
をうちならす薔薇の花。
藍色の蟇
(新字旧仮名)
/
大手拓次
(著)
▼ もっと見る
蜜蜂は箱から取り出されて、美しい
香気
(
にほひ
)
を嗅ぐと
狂気
(
きちがひ
)
のやうに花の中を転げ廻つたが、
何時
(
いつ
)
まで待つても蜜を
拵
(
こしら
)
へようとはしなかつた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
三州味噌の
香気
(
にほひ
)
がどうだ、塩加減がどうだ、此の
沢庵漬
(
たくあん
)
の
切形
(
きりかた
)
は見られぬ、此の塩からを
此様
(
こんな
)
皿に入れる頓馬はない、
此間
(
このあひだ
)
買つた清水焼はどうした、又
破
(
こわ
)
したのぢやないか
一月一日
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
「あゝ、
好
(
い
)
い
香気
(
にほひ
)
だ。」と長ちやんは眼を細くした。
出発
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
これが発明出来て、寺内首相に
白粉
(
おしろい
)
の
香気
(
にほひ
)
がしたり、
嘉悦孝子
(
かえつたかこ
)
女史に石油の
香気
(
にほひ
)
がする事が知れでもしたら、大変な
幸福
(
しあはせ
)
である。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
大森氏はためつすがめつ
髑髏
(
しやれかうべ
)
を見てゐた。
恰
(
ちやう
)
ど
梅雨
(
つゆ
)
時分の事で、
髑髏
(
しやれかうべ
)
からは官吏や会社の重役の
古手
(
ふるて
)
から出るやうな
黴臭
(
かびくさ
)
い
香気
(
にほひ
)
がぷんとした。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
ところが、アンヌはその事実から
怖
(
おそろ
)
しい発明を企てゝゐる。それは人間の有つてる
香気
(
にほひ
)
から新しい香料を取らうとする事だ。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
成程
頭髪
(
あたま
)
に塗つてみるとすつとして気持が
好
(
い
)
い。だが
香気
(
にほひ
)
だけは余り感心しなかつたので、よく調べてみると、上等のウイスキイだつたさうだ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「うむ、花の
香気
(
にほひ
)
か。」父親は大学者のやうに落ついた調子で言つた。「あれは人間を娯ませるために出来てゐるんだ。」
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
その
香気
(
にほひ
)
をうまく利用する事が出来たら、化粧法は一段と進歩する事だらうし、恋をする人達は、さしづめ有力な材料が一つ殖えた事になる訳だ。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
子供はそれ以後「何だつて花には
香気
(
にほひ
)
があるのだらう。」と、一生懸命にそればかりを考へた。そしていつの間にか大学者になつて、
漸
(
やつ
)
とその問題を解く事が出来た。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
味覚の発達した今の人の物を喰べるのは、其の持前の味以外に色を食べ
香気
(
にほひ
)
を食べまた
趣致
(
おもむき
)
を食べるので、早い
談話
(
はなし
)
が
蔓茘枝
(
つるれいし
)
を
嗜
(
す
)
くといふ人はあくどい
其色
(
そのいろ
)
をも食べるので。
茸の香
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
香気
(
にほひ
)
にしてからが
然
(
さ
)
うで、
石花菜
(
ところてん
)
を食べるのは、海の匂を味はひ、
香魚
(
あゆ
)
を食べるのは
淡水
(
まみづ
)
の匂を味はふので、今
恁
(
か
)
うして茸を食べるのは、
軈
(
やが
)
てまた山の匂を味はふのである。
茸の香
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
香
常用漢字
小4
部首:⾹
9画
気
常用漢字
小1
部首:⽓
6画
“香”で始まる語句
香
香具師
香港
香炉
香華
香奠
香花
香爐
香水
香物