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匂
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にほひ
ふりがな文庫
“
匂
(
にほひ
)” の例文
「
一寸
(
ちよつと
)
御
覧
(
らん
)
なさい」と美禰子が
小
(
ちい
)
さな声で云ふ。三四郎は及び腰になつて、画帖の上へ
顔
(
かほ
)
を出した。美禰子の
髪
(
あたま
)
で香水の
匂
(
にほひ
)
がする。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
それに今まで聞えなかったかすかな音もみんなはっきりわかり、いろいろの木のいろいろな
匂
(
にほひ
)
まで、実に一一手にとるやうです。
よく利く薬とえらい薬
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「鐵砲の音のやうでした。驚いて音のした方へ飛んで行くと、川の方へ向いた部屋は
煙硝
(
えんせう
)
の
匂
(
にほひ
)
で、お佛壇の前には、旦那がこんな具合に」
銭形平次捕物控:297 花見の留守
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ポン・トオ・シァンジュ、
花市
(
はないち
)
の晩。風のまにまに、ふはふはと、夏水仙のにほひ、土の
匂
(
にほひ
)
、あすはマリヤのお祭の
宵宮
(
よみや
)
にあたる
賑
(
にい
)
やかさ。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
回回
(
フイフイ
)
教の寺院で
白衣
(
びやくい
)
の尼の列を珍しがり、共同墓地に
入
(
はひ
)
つて大理石の墓の多いのに驚き、
其処
(
そこ
)
でバクレツと云ふ
樹
(
き
)
の
梔
(
くちなし
)
の様な花の
匂
(
にほひ
)
の高いのを嗅ぎ
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
▼ もっと見る
與吉
(
よきち
)
は
薄暗
(
うすぐら
)
い
中
(
なか
)
に
居
(
ゐ
)
る、
材木
(
ざいもく
)
と、
材木
(
ざいもく
)
を
積上
(
つみあ
)
げた
周圍
(
しうゐ
)
は、
杉
(
すぎ
)
の
香
(
か
)
、
松
(
まつ
)
の
匂
(
にほひ
)
に
包
(
つゝ
)
まれた
穴
(
あな
)
の
底
(
そこ
)
で、
目
(
め
)
を
睜
(
みは
)
つて、
跪
(
ひざまづ
)
いて、
鋸
(
のこぎり
)
を
握
(
にぎ
)
つて、
空
(
そら
)
ざまに
仰
(
あふ
)
いで
見
(
み
)
た。
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
白いくつきりとした顔、妹によく似た黒い眸、凜々しく引きしまつた唇、顔全体を包んでゐる上品な
匂
(
にほひ
)
。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
その
媚
(
こび
)
ある目の
辺
(
ほとり
)
は
漸
(
やうや
)
く花桜の色に染みて、心楽しげに
稍
(
やや
)
身を
寛
(
ゆるやか
)
に取成したる
風情
(
ふぜい
)
は、
実
(
げ
)
に
匂
(
にほひ
)
など
零
(
こぼ
)
れぬべく、熱しとて紺の
絹精縷
(
きぬセル
)
の
被風
(
ひふ
)
を脱げば、羽織は無くて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
加之
(
それに
)
顏にも
弛
(
たる
)
むだ點がある、何うしても平民の娘だ。これが周三に取ツて何となく
物足
(
ものた
)
りぬやうに思はれて、何だか
紅
(
あか
)
い
匂
(
にほひ
)
の無い花を見るやうな心地がするのであツた。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
加之
(
それに
)
用心深
(
ようじんぶか
)
い
其神経
(
そのしんけい
)
は、
何時
(
いつ
)
彼
(
か
)
の
背負揚
(
しよいあげ
)
を
見
(
み
)
て、
手紙
(
てがみ
)
に
触
(
さは
)
つた
私
(
わたし
)
の
手
(
て
)
の
匂
(
にほひ
)
を
嚊
(
か
)
ぎつけ、
或晩
(
あるばん
)
妻
(
つま
)
が
湯
(
ゆ
)
に
入
(
い
)
つた
留守
(
るす
)
に、
私
(
そつ
)
と
背負揚
(
しよいあげ
)
を
出
(
だ
)
して
見
(
み
)
ると、
手紙
(
てがみ
)
はもう
中
(
なか
)
には
無
(
なか
)
つた。
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
「ソクラテスやアリストオトルも矢張あんな
匂
(
にほひ
)
がしたかも知れないと思ふと厭になる。」
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
牝牛
(
めうし
)
さん、
聞
(
き
)
いて
下
(
くだ
)
さい。
私
(
わたし
)
の
可愛
(
かは
)
いい
坊
(
ばう
)
や
達
(
たち
)
はね。きつと
美
(
うつく
)
しい
瑠璃色
(
るりいろ
)
をしてゐて、
薔薇
(
ばら
)
の
花
(
はな
)
みたいによい
匂
(
にほひ
)
がしますよ。そして
鈴
(
すゞ
)
をふるやうなよい
聲
(
こゑ
)
でちる/\と
歌
(
うた
)
ひますよ。
お母さん達
(旧字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
と同時に不思議な
香
(
かう
)
の
匂
(
にほひ
)
が、町の敷石にも
滲
(
し
)
みる程、どこからか静に漂つて来ました。
アグニの神
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
よそにても風のたよりに我ぞ問ふ枝離れたる花のやどりを、といふのである。貞盛の妻は恩を喜んで、よそにても花の
匂
(
にほひ
)
の散り来れば吾が身わびしとおもほえぬかな、と返歌した。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
薔薇と麝香のさかんな
匂
(
にほひ
)
、一寸離れて私たちの小さな屋敷の後ろには、波のうねりで揺れてゐるマストの端が見える……私たちのまはりには、窓掛を透してくる薔薇色の光に輝らされて
計画
(新字旧仮名)
/
シャルル・ピエール・ボードレール
(著)
取繕
(
とりつくろ
)
ひ
何喰
(
なにくは
)
ぬ顏して有しに其日の
夕暮
(
ゆふぐれ
)
に何とやらん
怪
(
あや
)
しき
匂
(
にほ
)
ひのするに
近所
(
きんじよ
)
の人々
寄集
(
よりあつま
)
りて何の
匂
(
にほひ
)
やらん雪の中にて場所も分らず
種々
(
さま/″\
)
評議に及び
斯
(
かゝ
)
る時には
何時
(
いつ
)
も第一番にお三ばゝが
出來
(
いできた
)
り
世話
(
せわ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
めづらしや、人間の
語
(
ご
)
を引いて、
匂
(
にほひ
)
はげしき
空焚
(
そらだき
)
の
薫
(
くん
)
じたる
エロディヤッド
(旧字旧仮名)
/
ステファヌ・マラルメ
(著)
影にのみ
匂
(
にほひ
)
やかなる窻ぎはのその花むらも暮れて
来
(
きた
)
りぬ
黒檜
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
或は
山羊
(
やぎ
)
と小羊の
薫
(
くん
)
ずる
匂
(
にほひ
)
納受して
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
鬼子
(
おにこ
)
とよべど
鳶
(
とび
)
が
産
(
う
)
んだるおたかとて
今年
(
ことし
)
二八
(
にはち
)
のつぼみの
花色
(
はないろ
)
ゆたかにして
匂
(
にほひ
)
濃
(
こま
)
やかに
天晴
(
あつぱ
)
れ
當代
(
たうだい
)
の
小町
(
こまち
)
衣通
(
そとほり
)
ひめと
世間
(
せけん
)
に
出
(
だ
)
さぬも
道理
(
だうり
)
か
荒
(
あら
)
き
風
(
かぜ
)
に
當
(
あた
)
りもせばあの
柳腰
(
やなぎごし
)
なにとせんと
仇口
(
あだぐち
)
にさへ
噂
(
うはさ
)
し
連
(
つ
)
れて
五十
(
ごとう
)
稻荷
(
いなり
)
の
縁日
(
えんにち
)
に
後姿
(
うしろすがた
)
のみも
拜
(
はい
)
し
得
(
え
)
たる
若
(
わか
)
ものは
榮譽
(
えいよ
)
幸福
(
かうふく
)
上
(
うへ
)
やあらん
卒業
(
そつげふ
)
試驗
(
しけん
)
の
優等證
(
いうとうしよう
)
は
何
(
なん
)
のものかは
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
松やにの
匂
(
にほひ
)
がしぃんとして青い煙はあがり日光はさんさんと降ってゐました。その戸口にハーシュは車をとめて叫びました。
車
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
濱萵苣
(
はまさじ
)
、すました女、おまへには道義の
匂
(
にほひ
)
がする、
秤
(
はかり
)
にかけた
接吻
(
せつぷん
)
の智慧もある、
樫
(
かし
)
の箪笥に
下着
(
したぎ
)
が十二枚、
乙
(
をつ
)
な
容子
(
ようす
)
の
濱萵苣
(
はまさじ
)
、しかも優しい
濱萵苣
(
はまさじ
)
。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
崖
(
がけ
)
は
秋
(
あき
)
に
入
(
い
)
つても
別
(
べつ
)
に
色
(
いろ
)
づく
樣子
(
やうす
)
もない。たゞ
青
(
あを
)
い
草
(
くさ
)
の
匂
(
にほひ
)
が
褪
(
さ
)
めて、
不揃
(
ぶそろ
)
にもぢや/\する
許
(
ばかり
)
である。
薄
(
すゝき
)
だの
蔦
(
つた
)
だのと
云
(
い
)
ふ
洒落
(
しやれ
)
たものに
至
(
いた
)
つては
更
(
さら
)
に
見當
(
みあた
)
らない。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
実
(
げ
)
に
匂
(
にほひ
)
も
零
(
こぼ
)
るるやうにして彼は
浪
(
なみ
)
に漂ひし人の今
打揚
(
うちあ
)
げられたるも
現
(
うつつ
)
ならず、ほとほと
力竭
(
ちからつ
)
きて
絶入
(
たえい
)
らんとするが如く、
止
(
た
)
だ
手枕
(
てまくら
)
に横顔を支へて、力無き
眼
(
まなこ
)
を
瞪
(
みは
)
れり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
氷川神社
(
ひかはじんじや
)
を
石段
(
いしだん
)
の
下
(
した
)
にて
拜
(
をが
)
み、
此宮
(
このみや
)
と
植物園
(
しよくぶつゑん
)
の
竹藪
(
たけやぶ
)
との
間
(
あひだ
)
の
坂
(
さか
)
を
上
(
のぼ
)
りて
原町
(
はらまち
)
へ
懸
(
かゝ
)
れり。
路
(
みち
)
の
彼方
(
あなた
)
に
名代
(
なだい
)
の
護謨
(
ごむ
)
製造所
(
せいざうしよ
)
のあるあり。
職人
(
しよくにん
)
眞黒
(
まつくろ
)
になつて
働
(
はたら
)
く。
護謨
(
ごむ
)
の
匂
(
にほひ
)
面
(
おもて
)
を
打
(
う
)
つ。
弥次行
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
好きな
匂
(
にほひ
)
の高い
煙草
(
たばこ
)
も仕事の間に飲んだ時と、
外出
(
そとで
)
の帰りに買つて来て、する事のない
閑
(
ひま
)
さに飲むのとは味が違ふ。新しい習慣に従ふことを久しい間の惰性が
姑
(
しばら
)
く拒むらしい。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
蓋をとるとふわつと白い湯気が顔を
撫
(
な
)
で、うまさうな
匂
(
にほひ
)
が鼻をうつ。上出来らしい。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
幸ひ屋敷の中が清左衞門の自由になるので、縁の下から天井裏、土藏納屋の中は言ふ迄もなく、雇人の荷物まで探しましたが、三日目の今日まで、御墨附や短刀の
匂
(
にほひ
)
も解らなかつたのです。
銭形平次捕物控:035 傀儡名臣
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
行つて見ると、やはり机の側に
置炬燵
(
おきごたつ
)
を据ゑて、「カラマゾフ兄弟」か何か読んでゐた。あたれと云ふから、我々もその置炬燵へはいつたら、掛蒲団の
脂臭
(
あぶらくさ
)
い
匂
(
にほひ
)
が、火臭い匂と一しよに鼻を打つた。
あの頃の自分の事
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
飮
(
のん
)
で居る處へ二丁目の番人作兵衞といふ者來り
四方
(
よも
)
山の
咄
(
はなし
)
の中此
匂
(
にほひ
)
を
嗅
(
か
)
ぎ不審に思ひながら歸ると程なく
定廻
(
ぢやうまは
)
りの
同心
(
どうしん
)
來りて行事を
呼寄
(
よびよせ
)
名香
(
めいかう
)
紛失
(
ふんじつ
)
につき内々の御
調
(
しら
)
べゆゑ
藥屋
(
くすりや
)
共へ吟味致す樣申付るを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
胸には何か氣も心も
甘
(
あま
)
つたるくなるやうな
匂
(
にほひ
)
が通つて來る。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
物ゆかし、わかき
匂
(
にほひ
)
のいづこにか濡れてすずろぐ。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
それにくらべたら村の方の人たちこそ
却
(
かへ
)
って本当に酔ってしまったのでした。そのうちに税務署長は少し酒の
匂
(
にほひ
)
が変って来たのに気がつきました。
税務署長の冒険
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「
芬々
(
ぷんぷん
)
と香水の
匂
(
にほひ
)
がして、
金剛石
(
ダイアモンド
)
の金の指環を穿めて、殿様然たる
服装
(
なり
)
をして、
好
(
い
)
いに
違無
(
ちがひな
)
いさ」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
藁色
(
わらいろ
)
の
薔薇
(
ばら
)
の花、
稜鏡
(
プリズム
)
の
生硬
(
なま
)
な色にたち
雜
(
まざ
)
つた黄ばんだ金剛石のやうに
藁色
(
わらいろ
)
の
薔薇
(
ばら
)
の花、扇のかげで心と心とをひしと合せて、
芒
(
のぎ
)
の
匂
(
にほひ
)
をかいでゐる
僞善
(
ぎぜん
)
の花よ、
無言
(
むごん
)
の花よ。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
幾十年と無く
毎朝
(
まいあさ
)
焚
(
た
)
き
籠
(
こ
)
めた五
種香
(
しゆかう
)
の
匂
(
にほひ
)
がむつと顔を撲つ。阿母さんが折々一時間も
此処
(
こヽ
)
に閉ぢ
籠
(
こも
)
つて出て来ぬ事がある丈に、
家中
(
うちヾう
)
で
此
(
この
)
内陣計りは
温
(
あたヽ
)
かい
様
(
やう
)
ななつかしい様な処だ。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
何心
(
なにごころ
)
なく、
端
(
はし
)
を、キリ/\と、
手許
(
てもと
)
へ、
絞
(
しぼ
)
ると、
蜘蛛
(
くも
)
の
巣
(
す
)
のかはりに
幻
(
まぼろし
)
の
綾
(
あや
)
を
織
(
お
)
つて、
脈々
(
みやく/\
)
として、
顏
(
かほ
)
を
撫
(
な
)
でたのは、
薔薇
(
ばら
)
か
菫
(
すみれ
)
かと
思
(
おも
)
ふ、いや、それよりも、
唯今
(
たゞいま
)
思
(
おも
)
へば、
先刻
(
さつき
)
の
花
(
はな
)
の
匂
(
にほひ
)
です
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
家
(
いへ
)
の子は
卓
(
しよく
)
にならべぬ。そのなかに
柑子
(
かうじ
)
の
匂
(
にほひ
)
。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
そこでみんなは色々の農具をもつて、まづ一番ちかい
狼森
(
オイノもり
)
に行きました。森へ入りますと、すぐしめつたつめたい風と朽葉の
匂
(
にほひ
)
とが、すつとみんなを襲ひました。
狼森と笊森、盗森
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
そして、
木犀
(
もくせい
)
のやうな
甘
(
あま
)
い
匂
(
にほひ
)
が、
燻
(
いぶ
)
したやうに
薫
(
かを
)
る。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
匂
(
にほひ
)
交
(
まじ
)
れる思にて、心は一つ、えこそ語らね。
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
聴くはただ
饐
(
す
)
えに
饐
(
す
)
えゆく
匂
(
にほひ
)
のみ、——
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「にょらいじゅりゃうぼん第十六。」といふやうな
語
(
ことば
)
がかすかな風のやうに又
匂
(
にほひ
)
のやうに一郎に感じました。すると何だかまはりがほっと楽になったやうに思って
ひかりの素足
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
匂
(
にほひ
)
交
(
まじ
)
れる思にて、心は一つ、えこそ語らね。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
こまやかに
匂
(
にほひ
)
シヤボンの消ゆるごと
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
ある人人は鳥のやうに空中を
翔
(
か
)
けてゐましたがその銀いろの飾りのひもはまっすぐにうしろに引いて波一つたたないのでした。すべて夏の明方のやうないゝ
匂
(
にほひ
)
で一杯でした。
ひかりの素足
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
朧
(
おぼろ
)
げのつつましき
匂
(
にほひ
)
のそらに
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
ぼくらは、
蝉
(
せみ
)
が雨のやうに鳴いてゐるいつもの松林を通って、それから、祭のときの
瓦斯
(
ガス
)
のやうな
匂
(
にほひ
)
のむっとする、ねむの河原を急いで抜けて、いつものさいかち
淵
(
ぶち
)
に行った。
さいかち淵
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
匂
(
にほひ
)
高き
空気
(
くうき
)
の
迅
(
はや
)
き
顫動
(
せんどう
)
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
全く全くこの公園林の杉の黒い立派な緑、さはやかな
匂
(
にほひ
)
、夏のすゞしい陰、月光色の芝生がこれから何千人の人たちに本当のさいはひが何だかを教へるか数へられませんでした。
虔十公園林
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
“匂(におい)”の解説
においとは
空気中を漂ってきて嗅覚を刺激するもの(注. 『広辞苑』では嗅覚系の説明は2番目以降である)。
赤などのあざやかな色彩が美しく映えること。視覚で捉えられる美しい色彩のこと。「匂い」。
(出典:Wikipedia)
匂
常用漢字
中学
部首:⼓
4画
“匂”を含む語句
酒匂川
酒匂
萌黄匂
匂宮
匂袋
紫匂
香匂新左衛門
匂坂
荒匂
櫨匂
弥匂
山吹匂
墨匂
咲匂
匂香
匂頻
匂零
匂阿羅世伊止宇
匂足
匂滴
...