“迅”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
はや83.4%
と4.5%
はし3.8%
じん3.2%
すみや1.3%
とつ0.6%
すみ0.6%
すみやか0.6%
つと0.6%
とう0.6%
ばや0.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
鯨の屍骸は、狂おしく迅(はや)い潮流に乗って、矢のように走り出したのだ。しかも、その方向は、はるか彼方(かなた)に浮ぶ氷山を目指している。
怪奇人造島 (新字新仮名) / 寺島柾史(著)
ただ当時の余はかくのごとき情調に支配されて生きていたという消息が、一瞥(いちべつ)の迅(と)きうちに、読者の胸に伝われば満足なのである。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そしてその小娘もまた此方(こなた)の人影をいぶかるものの如く、死骸と死骸との間から、迅(はし)こい猫のような眸(ひとみ)を、じっと、射向けているのであった。
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「わたしが引受けます。船は大きいし、迅(じん)ちゃんはおとなしいし、わたしどもは泳ぎがうまいし、こんなら大丈夫です」
村芝居 (新字新仮名) / 魯迅(著)
『若(も)し、人(ひと)各々(おの/\)その仕事(しごと)に專念(せんねん)なる時(とき)は』と公爵夫人(こうしやくふじん)は咳嗄(しわが)れた銅鑼聲(どらごゑ)で云(い)つて、『世界(せかい)は常(つね)よりも迅(すみや)かに回轉(くわいてん)します』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
然し若しおれであつたら、もう、迅(とつ)くになつてゐた筈だらう。
泡鳴五部作:01 発展 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
世のうつろひの 迅(すみ)やかなる
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
負(まく)れば尚(なお)も盗賊(どろぼう)に追い銭の愚を尽し、勝てば飯盛(めしもり)に祝い酒のあぶく銭(ぜに)を費す、此癖(このくせ)止めて止まらぬ春駒(はるごま)の足掻(あがき)早く、坂道を飛び下(おり)るより迅(すみやか)に
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
無残の屍骸(かばね)を晒(さ)らすということは、特に『心臓捕り事件』として、迅(つと)に報じた所であるが、今暁復もや其犠牲者が、川口の水面に浮かんで来た。
人間製造 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
何のために生きているかということが、はっきりしているからこそ、私は主観的には迅(とう)に悲劇を脱却しているわけです。
するとやがて、西山荘の裏門から、ひとりの男が、おそろしいす迅(ばや)さで走って来た。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)