“はし”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ハシ
語句割合
26.4%
23.4%
13.5%
11.4%
6.2%
5.3%
3.1%
2.6%
2.2%
0.9%
(他:66)5.0%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
象牙ぞうげのおはしを持ってまいりましょうか……それでのどでますと……」婆やがそういうかいわぬに、
碁石を呑んだ八っちゃん (新字新仮名) / 有島武郎(著)
狭い食卓に、昨夜ゆうべの残りの御馳走などをならべて、差し向いではしを取ったが、お作は折々目をあげて新吉の顔を見た。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
山を眺めた津田の眼が、はしなく上気した時のように紅く染った清子の耳朶みみたぶに落ちた時、彼は腹のうちでそう考えた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
といったが与八はポキリと言葉のはしを折って、一丁ほどは物を言いませんでした。兵馬も再び尋ねなかったが、やがて与八は、
河水かはみづるゝこと八分目はちぶんめ用意よういをはればたゞちにはしりて
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いけまわって、築山つきやますそはしるおれん姿すがたは、きつねのようにはやかった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
名も歴史もない甲州アルプスに、対面して、零落れいらくの壮大、そのものが、この万年の墳墓を中心にして今虚空をはしる。
白峰山脈縦断記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
そして、同じ心の人々は、斉彬の遺業が、斉興の手にて、破壊されると同時に、斉彬の志を奉じて、それぞれ、諸国にはしった。
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
妻籠つまご吾妻橋あづまばしといふはし手前てまへまできますと、鶺鴒せきれいんでました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
これから案内あんないれてき、はしわたると葭簀張よしずばり腰掛こしか茶屋ぢやゝ
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
てい逆浪げきらう怒濤どたうそこ電光でんくわうごとはしる、そのあひだつて
そういった次長も、上衣うわぎをつかむが早いかすぐエレベーターの方にはしっていた。社長を至急探しださねばならない。
見えざる敵 (新字新仮名) / 海野十三(著)
馬上の武士はもう何事も手のつくされないことを知ると、ただ一騎で野をよぎり、山麓の方に向きを据えると、はしりに馳った。
野に臥す者 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
――この列車れつしやは、米原まいばら一體分身いつたいぶんしんして、わかれて東西とうざいはしります。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
利かぬ羽をうずにして抱きつこうとするのは、おっかさんが、はしを笊の目に、その……ツツと入れては、ツイと引く時である。
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
この影がさしたら、四ツ目あたりに咲き掛けた紅白の牡丹ぼたんも曇ろう。……はしを鳴らして、ひらりひらりと縦横無尽に踊る。
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一たん求道の志を捨てて享楽にはしってみたものの現実に全面的に惑溺わくできすることが出来なかったのを見ても察せられる。
宝永噴火 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
その弟は、学校を出て船に努めるようになり、乗船中、海の色の恍惚こうこつかれて、海の底にはしった。
雛妓 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
円眼鬼チクロプスポリフェムス嫉み甚だしく大岩で彼を圧殺し血はしり出るをガラテアがエトナ山下のアキス川に化したという。
力をあはせて、金盤一つさし上げたるがその縁少しくそばだちて、水は肩にはしり落ちたり。
「そ、そんな馬鹿な事はない。もしもそうとすれば、機関車は独りで疾走はしって行った事になる――。と、とんでもない事だ!」
気狂い機関車 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
もう風も静まって大分白み掛けた薄闇の中を、フル・スピードで疾走はしり続けながら、落ついた調子で、喬介は助役へ言った。
気狂い機関車 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
そして一座を見渡したのち、広い母屋おもやを廻って、二人を三段のはしの所まで引き出し、こおった土の上に衝き落す。
山椒大夫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
律師は偏衫へんさん一つ身にまとって、なんの威儀をもつくろわず、常燈明の薄明りを背にして本堂のはしの上に立った。
山椒大夫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
俺たちはその度に歯ぎしりをした。然し、そうでない時、俺たちは誰よりも一番はしゃいで、元気で、ふざけたりするのだ。
独房 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
お君は昼過ぎになってから、然し急にはしゃぐことをやめてしまった。
工場細胞 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
はしっこい日吉は、すぐ土間口のほうへ駈けて行った。土間は広く、一方は炉部屋の上がりがまち、一方は台所だった。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
朱実は、からかって、雉子きじのようなはしこい足で、先に山道を降りかけたが、急に顔いろを変えて、立ちすくんだ。
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あたまうへ草山くさやま灰色はひいろくもれ/″\になつてはしる。
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
勉強をしたいと思うあとから、とてつもなくだらしのない不道徳な野性が、私の体中をはしりまわっている。
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
するとそのうちの、色の浅黒い男振りのいいはしっこそうな一人が立って、激した調子で云いかえした。
(新字新仮名) / 黒島伝治(著)
――と、その山猫のようにはしッこい男の嵐が、そこをサッと吹いたかと思うまに、
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ひとりは、左のこぶし放鷹たかを据え、獲物を入れる網ぶくろを、大小と反対のほうへげ、うしろに、はしこそうな茶いろの猟犬をつれていた。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし、乱闘は同じ場所に待ってはいません。ことにはしッこい道中師の伊兵衛や、野鼠のねずみのような黒衣くろごむれ。もう一匹もそこには見えない。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
草刈等はなおまず、怠らず、たゆまず、ここかしこともとむれども、金属は釘のおれ鉄葉ブリキはしもあらざりき。
金時計 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
けれどもそれと同時に若先生と私の膝の前に転がっている「あやかしの鼓」の胴が何でもない木のはしのように思われて来たのは、あとから考えても実に不思議であった。
あやかしの鼓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
『人間はかうして生存してるのだ。かうして現在から現在をはしつて、無意味のうちに生れて、生きて、で、そして死んで行くのだ』
父の墓 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
いぬしたい、人は色にはしる。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
僕はほとんど自己おのれをわすれてこの雑踏のうちをぶらぶらと歩き、やや物静かなるちまた一端はしに出た。
忘れえぬ人々 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
町の西端にしはずれに寺ありてゆうべゆうべの鐘はここより響けど、鐘く男は六十むそじを幾つか越えしおきななれば力足らずえだえのは町の一端はしより一端はしへと、おぼつかなく漂うのみ、ほど近き青年わかものが別荘へは聞こゆる時あり聞こえかぬる時も多かり。
わかれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
車台の床に投げられている彼女の視線には、青年が持っている細身のとうのステッキの尖端はしだけしか映っていなかった。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
車台の床に投げられてゐる彼女の視線には、青年が持つてゐる細身の籐のステッキの尖端はしだけしか映つてゐなかつた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
東部諸州の小さい川を通った時、それはあまりに小さいので、ちょうど魔法船が陸の牧場ぼくじょうや麦畑の中を帆走はしって行くように見えた。
「ただ帆走はしり廻られるだけです。あれが、キャプテンの御趣味なんです」
死の快走船 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
そして恰度二人が自動車へ乗った時に松林の向うをはしる汽車の音が聞えて来ると、
とむらい機関車 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
それから役等はB町へ出掛けて安藤巡査に豚の処置を依頼すると、そのまま自動車くるまで、もうすっかり明け放れたすがすがしい朝の郊外を、H駅まではしる事になったんです。
とむらい機関車 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
エストニアの伝説に、樵夫きこり二人林中で蛇をあまた殺し行くと、ついに蛇の大団堆おおかたまりに逢い、逃ぐるを金冠戴ける蛇王が追いはしる。
ああ、何もかもいすかはし――と落胆がっかりしたが、とにかく、そのだいがわりになっている旅川周馬という者に会い、絶家したお千絵様が、どこに身を落ちつけたか、それを尋ねてみるにしかずと門をくぐった。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と訳のわからない事を喋舌しゃべってはしゃいでいるうちに、ゴトンゴトンと音を立てて出て行った。
一足お先に (新字新仮名) / 夢野久作(著)
くるまのはいらぬ路地の中で、三軒長屋の最端はしがそれである。
二老人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
蚕でさえ心にあうところのあるまで、繭をかける場処を選んで、与えられた木の枝の、はしからはしまで歩き廻る――それは何やら満されない本能の求めなのではなかろうか――老爺さん湯川氏も、自分の本質を空しくして、ただ長く生きた九十年の生涯である。
旧聞日本橋:08 木魚の顔 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
葱嶺そうれいゆるに毒風肌を切り、飛砂みちふさぐ、渓間けいかん懸絶けんぜつするにへば、なわを以てはしとなし、空にはしごして進む」と当時の本にも残っているそうであるが、そういう旅であった。
『西遊記』の夢 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)