はし)” の例文
ジャネット! あなたの微笑は意味の深いものだつた。非常にはしこくて、あなたの放心を輕快なものにするやうに思はれた。
するとそのうちの、色の浅黒い男振りのいいはしっこそうな一人が立って、激した調子で云いかえした。それは吉原だった。将校が云いこめられているようだった。
(新字新仮名) / 黒島伝治(著)
波に乗って機を掴もうとする町人達のはしこい投機心は、もうその方へ奔命ほんめいを賭けていて、藩札の引換にわざわざ札座へやって来る時間さえ惜しくなっているらしいのである。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小柄ではしこそうな韃靼人のケルバライは、青シャツに白い前掛けをして道に立っていたが、両手を腹に当て低いお辞儀をして、馬車の一行を迎えた。そしてにこにこしながら白いきれいな歯を見せた。
決闘 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
と、その山猫のようにはしッこい男の嵐が、そこをサッと吹いたかと思うまに
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)