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端
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はし
ふりがな文庫
“
端
(
はし
)” の例文
おじいさんの
家
(
うち
)
は
町
(
まち
)
の
端
(
はし
)
になっていまして、その
辺
(
へん
)
は
圃
(
はたけ
)
や、
庭
(
にわ
)
が
広
(
ひろ
)
うございまして、なんとなく
田舎
(
いなか
)
へいったような
趣
(
おもむき
)
がありました。
おじいさんの家
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
つもる雪もおなじく氷りて岩のごとく、
岸
(
きし
)
の氷りたる
端
(
はし
)
次第
(
しだい
)
に雪ふりつもり、のちには
両岸
(
りやうがん
)
の雪
相合
(
あひがつ
)
して
陸地
(
りくち
)
とおなじ雪の地となる。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
謙作はテーブルの
端
(
はし
)
にやった
己
(
じぶん
)
の右の手に暖かな手の
生
(
なま
)
なましく触れたのを感じた。彼はもどかしそうにその手を握ったのであった。
港の妖婦
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
人に追い掛けられるように、
草原
(
くさはら
)
や道を横切って、庭の向うの
端
(
はし
)
まで行った。そこから振り返って見れば、病人の部屋の窓が見える。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
もう縁側の
端
(
はし
)
ッ
辺
(
ぱた
)
へも
寄付
(
よせつ
)
けてはなんねえと云いやしたが、お嬢様が連れて来たアだから逢うだけ逢って遣るから、サッサと出て
往
(
ゆ
)
け
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
レールを二本前の方に
継
(
つ
)
ぎ足しておいて、鉄の
環
(
かん
)
に似たものを二つ棺台の
端
(
はし
)
にかけたかと思うと、いきなりがらがらという音と共に
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
秋
(
あき
)
かぜ少しそよ/\とすれば、
端
(
はし
)
のかたより
果敢
(
はか
)
なげに破れて、
風情
(
ふぜい
)
次第に
淋
(
さび
)
しくなるほど、
雨
(
あめ
)
の
夜
(
よ
)
の
音
(
おと
)
なひこれこそは哀れなれ。
あきあはせ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
彼が世界の向うの端においてはぐくみ育てられながら聞いた神話の国、それは現世の
端
(
はし
)
を
縁
(
へり
)
どってたそがれとぼかし交える国であった。
人馬のにひ妻
(新字新仮名)
/
ロード・ダンセイニ
(著)
つまり、
翼
(
よく
)
が破れているとか、プロペラの
端
(
はし
)
が
欠
(
か
)
けているとか、座席の下に穴が明いとるとか、そういうボロ飛行機でよいのじゃ。
戦時旅行鞄:――金博士シリーズ・6――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
余は
端
(
はし
)
なく東京の父母や弟や親しき友を想ひ起して、今更の如く、今日まで我を囲みし人情の如何に温かであつたかを感じたのである。
空知川の岸辺
(新字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
入江の出口から右の方に長く続いている
小
(
こ
)
が
崎
(
さき
)
の
端
(
はし
)
が突き出ている、その先きの小島に波が白く砕け始めるようになって来ました。
少年と海
(新字新仮名)
/
加能作次郎
(著)
武丸は懐中から手紙を取り出して手筥に入れようとすると、中から琴の
爪筥
(
つめばこ
)
と「青眼鏡の賊」の記事を載せた新聞の切れ
端
(
はし
)
が出て来た。
黒白ストーリー
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
手を取つて引上げぬばかり、後ではさすがに
端
(
はし
)
たないと氣が付いたか、女房のお靜が持つて來た
手燭
(
てしよく
)
の灯の中に苦笑して居ります。
銭形平次捕物控:148 彦徳の面
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
看護員は現在おのが身の
如何
(
いか
)
に危険なる
断崖
(
だんがい
)
の
端
(
はし
)
に臨みつつあるかを、心着かざるものの如く、無心——
否
(
いな
)
むしろ無邪気——の
体
(
てい
)
にて
海城発電
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
かくてこの危険なる法律をば、廃止したともなく、忘れておった世人は、それより四十年後に至って、
端
(
はし
)
なくも覚醒の機運に逢着した。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
端
(
はし
)
なくこの場に来合せて、思ひもかけぬ御身たちに、邂逅ふさへ不思議なるに、憎しと思ふかの聴水も、かく捕はれしこそ嬉しけれ
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
僕は
端
(
はし
)
なくも篠田さんが
曾
(
かつ
)
て『労働者中
尤
(
もつと
)
も早く自覚するものは、
尤
(
もつと
)
も世人に
軽蔑
(
けいべつ
)
されて、尤も生活の悲惨を尽くしてる坑夫であらう』
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
枕
(
まくら
)
を並べて寝た人たちの中で葉子は床の間に近いいちばん
端
(
はし
)
に寝かされたが、どうしたかげんでか気味が悪くてたまらなくなり出した。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
文明の悪い波の
端
(
はし
)
が、押し寄せて来ようとしているのだ。こんなところの女までがおだてられて、仕事の真似をするのか……と。
遠野へ
(新字新仮名)
/
水野葉舟
(著)
お前はわたしに
欺
(
だま
)
されたと言うか言わない時に、一番
端
(
はし
)
に伏していた
鰐
(
わに
)
がわたくしを
捕
(
つかま
)
えてすつかり
着物
(
きもの
)
を
剥
(
は
)
いでしまいました。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
其方より暇乞ふ迄もなし、人の數にも入らぬ木の
端
(
はし
)
は、勿論親でもなく、子でもなし。其一念の直らぬ間は、時頼、シヽ七生までの義絶ぞ
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
人の世界の投ぐる影、
尖
(
とが
)
れる
端
(
はし
)
となる處なるこの天は、クリストの凱旋に加はる魂の中彼をば最も先に受けたり 一一八—一二〇
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
見うけるところ汝も
武士
(
さむらい
)
の
端
(
はし
)
くれらしい。久しくそういう骨っぽい人間に出会わないので、背中の
物干竿
(
ものほしざお
)
が夜泣きをしていた折でもある。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
村落
(
むら
)
の
端
(
はし
)
から
端
(
はし
)
まで
皆
(
みな
)
同
(
どう
)
一の
仕事
(
しごと
)
に
屈託
(
くつたく
)
して
居
(
ゐ
)
るのだから
其
(
そ
)
の
季節
(
きせつ
)
を
假令
(
たとひ
)
自分
(
じぶん
)
が
忘
(
わす
)
れたとしても
全
(
まつた
)
く
忘
(
わす
)
れ
去
(
さ
)
ることの
出來
(
でき
)
るものではない。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
それは日本の
端
(
はし
)
のほうの、わずかな区域だけに行われているからで、それもあるいは遠からず消えてしまうのではないかと思う。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
と枕の
端
(
はし
)
を指もて音なへど、眠れるにもあらぬ貫一は何の答をも与へず、満枝は起ちてベッドの
彼方
(
あなた
)
へ廻り行きて、彼の
寐顔
(
ねがほ
)
を
差覗
(
さしのぞ
)
きつ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
やや寒うなりかけた
小亭
(
ちん
)
の、
反
(
そ
)
りかへつた小屋根の
端
(
はし
)
で、いくら振つても振つても、黄色い尻尾は、いよいよ切ない刻みを早めるばかしだ。
観相の秋
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
はま女から
躾
(
しつ
)
けられたことの
端
(
はし
)
はしが、更につよくその気持を支え力づけて呉れた。——早く身軽になろう、そう考えていたのが、今では
初蕾
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
この首と
胴体
(
どうたい
)
とのあいだはせまい通路になっているので、その通路へ一番
精巧
(
せいこう
)
な二つのわなをうめ、そのわなの
端
(
はし
)
を
牝牛
(
めうし
)
の首に結びつけた。
動物物語 狼の王ロボ
(新字新仮名)
/
アーネスト・トンプソン・シートン
(著)
といったが与八はポキリと言葉の
端
(
はし
)
を折って、一丁ほどは物を言いませんでした。兵馬も再び尋ねなかったが、やがて与八は
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
光一はようやく中ほどへ進んでようやくこしかけの
端
(
はし
)
に腰をおろした、手塚がきていやしまいかとあたりを見まわしたが暗がりで見えない。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
お召物は純白で、
琥珀色
(
こはくいろ
)
のスカーフが肩からかゝつて胸を蔽ひ、腰のところで結ばれ、長い
縁
(
ふち
)
を縫つた
端
(
はし
)
の方は膝の下まで垂れてゐました。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
此時柏軒は
端
(
はし
)
なく一の難関に逢著した。それは所謂柏軒の乗船問題である。松田氏は此間の消息を語つて
下
(
しも
)
の如く云つてゐる。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
その前年伊豆の土肥温泉に渡らうとして沼津に一泊し
端
(
はし
)
なくこの松原の一端を見出し、それに心を惹かれてのことであつた。
沼津千本松原
(新字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
一文字に結んだ唇の
端
(
はし
)
には、強い意志さえ
窺
(
うかが
)
われた。昔取った
杵柄
(
きねづか
)
とでもいおうか、調べ方は手堅くて早く、
屈
(
かが
)
んだかと思うと背伸びをした。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
といふのは、その頃は女形のつつましい口からは、尻といふやうな
端
(
はし
)
たない言葉は夢にも言つてはならない事になつてゐた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
父親は剃刀の
刃
(
は
)
をすかして見てから、紙の
端
(
はし
)
を二つに折って切ってみた。が、少し引っかかった。父の顔は
嶮
(
けわ
)
しくなった。
笑われた子
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
私
(
わたくし
)
は
端
(
はし
)
なくも、
昨夜
(
ゆふべ
)
ローマ
府
(
ふ
)
からの
滊車
(
きしや
)
の
中
(
なか
)
で
讀
(
よ
)
んだ『
小公子
(
リツトルロー、トフオントルローイ
)
』といふ
小説
(
せうせつ
)
中
(
ちう
)
の、あの
愛
(
あい
)
らしい/\
小主人公
(
せうしゆじんこう
)
を
聯想
(
れんさう
)
した。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
早や
大引
(
おおびけ
)
とおぼしく、
夜廻
(
よまわり
)
の
金棒
(
かなぼう
)
の音、降来る夕立のように
五丁町
(
ごちょうまち
)
を通過ぎる頃、屏風の
端
(
はし
)
をそっと片寄せた
敵娼
(
あいかた
)
の
華魁
(
おいらん
)
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
天井には板が張ってあって、助八さんに聞くと、その上に土をのせて、
瓦
(
かわら
)
が並べてあるのだそうです。その瓦の
端
(
はし
)
の方は窓から見えて居ります。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
大勢が手を揃えて
其
(
その
)
綱を
繰上
(
くりあ
)
げると、綱の
端
(
はし
)
には
尠
(
すくな
)
からず
重量
(
めかた
)
を感じたので、不審ながら
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も中途まで
引揚
(
ひきあ
)
げると、
松明
(
たいまつ
)
の火は
漸
(
ようや
)
く
達
(
とど
)
いた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
それは岩見青年が××ビルディング内東洋宝石商会の社員であると云うのを聞いて、
端
(
はし
)
なくも二三ヶ月
前
(
ぜん
)
の白昼強盗事件が思い出されたのである。
琥珀のパイプ
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
愛
(
あい
)
ちやんは
爪先
(
つまさき
)
で
立上
(
たちあが
)
り、
菌
(
きのこ
)
の
縁
(
ふち
)
を
殘
(
のこ
)
る
隈
(
くま
)
なく
見
(
み
)
て
居
(
ゐ
)
る
中
(
うち
)
、
端
(
はし
)
なくも
其
(
その
)
眼
(
め
)
は
直
(
たゞ
)
ちに
大
(
おほ
)
きな
青
(
あを
)
い
芋蟲
(
いもむし
)
の
眼
(
め
)
と
出合
(
であ
)
ひました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
殊に私自身が東北人の
端
(
はし
)
くれであるから、そんな田舎者のひねこびた復讐心を見せつけられた時には、自己嫌悪みたいなものも加えられて、東京
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
しかし、突然夫に
接吻
(
せつぷん
)
したと思ふと、その次の瞬間には、夫の手を振りはらひながら露台の
端
(
はし
)
へ駆けて
行
(
ゆ
)
くが早いか、
遙
(
はる
)
か下へ身を投げてしまつた。
日本の女
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
端
(
はし
)
なる仙太は不意の
傾斜
(
かたむき
)
に身を支うる暇なく、あ! と叫びたるまま水の中に陥りしが、辛くも戸板の角に
取
(
とり
)
縋りて。
片男波
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
或は今夜此筆を擱く迄には、何等か解決の
端
(
はし
)
を發見するに到るかも知れぬが、……
否々
(
いや/\
)
、それは望むべからざる事だ。
葬列
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「なんやうちにもさっぱり様子分れへんねんけど、今夜急にこの揃いの着物なあ、——」と、私は知って風呂敷の結び目から着物の
端
(
はし
)
出して見せて
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
蓮華寺の
内部
(
なか
)
の
光景
(
ありさま
)
——今は丑松も明に其真相を読むことが出来た。
成程
(
なるほど
)
、左様言はれて見ると、それとない物の
端
(
はし
)
にも
可傷
(
いたま
)
しい事実は顕れて居る。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
されど
這
(
こ
)
の女丈夫が三十年間如何にして日月を過せしかは諸君の知らんと欲する所なるべし、故に予は他日を期し
端
(
はし
)
を改めて叙述する所あらんと欲す。
千里駒後日譚
(新字旧仮名)
/
川田瑞穂
、
楢崎竜
、
川田雪山
(著)
端
常用漢字
中学
部首:⽴
14画
“端”を含む語句
端折
尖端
尻端折
片端
出端
端緒
一端
端正
山端
縁端
端然
端艇
突端
上端
町端
切端
川端
下端
端々
発端
...