“片端”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
かたはし51.5%
かたっぱし27.8%
かたつぱし5.2%
かたは4.1%
きれはし2.1%
かたっぱ2.1%
かたッぱし2.1%
かたつぱじ1.0%
かたはじ1.0%
かたはず1.0%
かたツぱし1.0%
きれっぱし1.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
道也の進退をかく形容するの適否は作者といえども受合わぬ。もつれたる糸の片端かたはしも眼をちゃくすればただ一筋の末とあらわるるに過ぎぬ。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そんな奴はイクラ助けても帰順する奴じゃないけに、総督府の費用を節約するために、ワシの一存で片端かたっぱしから斬りすてる事にしておった。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
受けなかつたらかへつて神罰が有ると、弄謔からかひとは知れてゐるけれど、言草いひぐさが面白かつたから、片端かたつぱしから引受けて呷々ぐひぐひ遣付やつつけた。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
片端かたはの足を誰にも氣付かれまいと憔悴やつれる思ひで神經を消磨してゐた内儀さんの口惜しさは身を引き裂いても足りなかつた。
崖の下 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
うちへ帰ると細君は奥の六畳に手枕てまくらをしたなりていた。健三はそのそばに散らばっている赤い片端きれはしだの物指ものさしだの針箱だのを見て、またかという顔をした。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そんなことを言ったら、日本人の生活品なんか片端かたっぱしから「手作りハンド・メイド」だ。こう言ってやると、みんなびっくりして仲々ほんとにしない。それもそのはずである。
非人ひにんて、死者ししゃや、あしとらえてあななか引込ひきこんでしまうのだ、うッふ! だがなんでもない……そのかわおれからけてて、ここらの奴等やつら片端かたッぱしからおどしてくれる
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
道楽者の叔父は、飲んで、飲んで、田舎一般の勘定日なる盆と大晦日の度、片端かたつぱじから田や畑を酒屋に書入れて了つた。残つた田畑は小作に貸して、馬も売つた。
刑余の叔父 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
まだ舵にいて放れねえだ、天窓あたまから黄色に光った下腹へな、鮪縄まぐろなわさ、ぐるぐると巻きつけて、その片端かたはじを、胴の間の横木へゆわえつけると、さあ、念ばらしだ、娑婆しゃばか、地獄か見届けて来るッてな
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
やがて、辿たどりついた所は、浜町の片端かたはずれ、その辺りまだ空地や空井戸や古池などが多く、大川端をすぐ前にして、四、五軒の紙漉かみすき小屋と、漁師りょうしの家などが散在しているその中の一軒家。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
非人ひにんて、死者ししやや、あしとらへてあななか引込ひきこんでしまふのだ、うツふ! だがなんでもない……其換そのかはおれからけてて、此處こゝらの奴等やつら片端かたツぱしからおどしてれる、みんな白髮しらがにしてしまつてる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
笹村はどんな片端きれっぱしでもいい、むかし磯谷からお銀に当ててよこした手紙があったらばと、それを捜してみたこともあった。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)