片端きれはし)” の例文
うちへ帰ると細君は奥の六畳に手枕てまくらをしたなりていた。健三はそのそばに散らばっている赤い片端きれはしだの物指ものさしだの針箱だのを見て、またかという顔をした。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ところが女中が秋山さんの隠れていたといった扉の蔭には、かえって秋山さんの無罪を証拠だてる物が落ちていたのです、それは小さな玉葱たまねぎ片端きれはしです。
謎の頸飾事件 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
つまりそこに隠れていた者の体からその玉葱の小さな片端きれはしが落ちたのです。玉葱の片端きれはし、それは支那料理には附物だ。そうでしょう、皆さん、そして今夜は支那料理のコックがきている。
謎の頸飾事件 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)