片端かたつぱし)” の例文
受けなかつたらかへつて神罰が有ると、弄謔からかひとは知れてゐるけれど、言草いひぐさが面白かつたから、片端かたつぱしから引受けて呷々ぐひぐひ遣付やつつけた。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
折角こしらへた御馳走を片端かたつぱしから犬に喰はれる様なもんで……ハハヽヽ。「恋ざめ」なんか別に悪い所が無いぢやないですか?
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
其處等そこらにある家具を片端かたつぱしから打壞ぶちこはすか、誰れかを打つか蹴るかしたなら、いくらか頭が輕くなりはしないかと思はれた。
仮面 (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
ある晩和田垣博士と僕とで取替へ取替へ片端かたつぱしから一ぴんも余さず壊して見たが、僕の様な癇癪持かんしやくもちにはまことに便利なそして安価で胸の透く遊戯あそびだと思つた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
べんずるのが都會とくわいけるわたしども、なかま、なかまとまをしてわたしなどは、もののかずでもないのですが、立派りつぱな、畫伯方せんせいがたんで、片端かたつぱしから、やつがとにがり、あれめ、とさげすみ、小僧こぞう
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)