片端かたは)” の例文
片端かたはの足を誰にも氣付かれまいと憔悴やつれる思ひで神經を消磨してゐた内儀さんの口惜しさは身を引き裂いても足りなかつた。
崖の下 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
片端かたはという地名は一方が城の土居もしくはほりばたになっていて、片側しか人家のない道路であることを意味し、これも西国にはなくてこの辺から東には多い。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
レジナにてうさぎうまを雇ひ、葡萄圃ぶだうばたけ、貧しげなる農家など見つつり行くに、やうやくにして草木の勢衰へ、はては片端かたはになりたる小灌木、半ば枯れたる草の茎もあらずなりぬ。
ヴエスヴイオ山 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
レジナにてうさぎうまを雇ひ、葡萄圃、貧しげなる農家など見つゝり行くに、漸くにして草木の勢衰へ、はては片端かたはになりたる小灌木、半ば枯れたる草の莖もあらずなりぬ。