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迸
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はし
ふりがな文庫
“
迸
(
はし
)” の例文
舟は桃花村のある方へ白い水脈をひいて、目ぐるわしく
迸
(
はし
)
った。眠元朗の目は
湿
(
うるお
)
うてその
弄
(
もてあそ
)
ぶ砂は手のひらを力なげにこぼれた。
みずうみ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
とは思わず
口頭
(
くちさき
)
に
迸
(
はし
)
った質問で、もちろん細君が
一方
(
ひとかた
)
ならず同情を主人の身の上に寄せたからである。しかし主人はその質問には答えなかった。
太郎坊
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
力を
併
(
あは
)
せて、金盤一つさし上げたるがその縁少しく
欹
(
そば
)
だちて、水は肩に
迸
(
はし
)
り落ちたり。丈高く育ちたる水草ありて、露けき緑葉もてこの像を
掩
(
おほ
)
はんとす。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
だが私の心が急ぐのは国を一つ越えた先の
日田
(
ひた
)
である。平野の尽きたところに筑後川が
迸
(
はし
)
る。河は急に二つの山を引きつけて岩を砕きながら私の方に走る。
日田の皿山
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
またアキスは女魅ガラテアに愛されたが、
円眼鬼
(
チクロプス
)
ポリフェムス嫉み甚だしく大岩で彼を圧殺し血
迸
(
はし
)
り出るをガラテアがエトナ山下のアキス川に化したという。
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
▼ もっと見る
ぼくとて何かしらのイミテーションかも知れないが、とにかく、長さんや、ぼくは
迸
(
はし
)
ったですよ。時に停滞しても、時に迸ったです。北川君の一生は迸ったことがないね。
街はふるさと
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
老父には真剣に娘の身の上を
想
(
おも
)
う電気のようなものが、
迸
(
はし
)
り出した。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
水の
迸
(
はし
)
るやうな此の音のするどさ
風は草木にささやいた:01 風は草木にささやいた
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
一
言
(
げん
)
の
支吾
(
しご
)
あらんには、
巌石
(
がんせき
)
鶏卵
(
けいらん
)
を圧するの勢を以て臨まんとするの状を
為
(
な
)
し、
昺貴
(
へいき
)
の軍の殺気の
迸
(
はし
)
るところ、
箭
(
や
)
をば放って府内に達するものすら有りたり。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
朕が眷属の闇きより闇きに伝ひ行く悪鬼は、人の肺腑に潜み入り、人の
心肝骨髄
(
しんかんこつずゐ
)
に
咬
(
く
)
ひ入つて絶えず血にぞ飽く、視よ見よ魔界の通力もて毒火を彼が胸に煽り、
紅炎
(
ぐえん
)
を
此
(
これ
)
が眼より
迸
(
はし
)
らせ
二日物語
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
途端に今まで黙っていたりし女は急に呼びとめて、この二三日にのっそりめに
逢
(
お
)
うたか、と石から飛んで火の出しごとく声を
迸
(
はし
)
らし問いかくれば、清吉ふりむいて、逢いました逢いました
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
さすがは気早き江戸ッ子気質、草履つつかけ門口出づる、途端に今まで黙つて居たりし女は急に呼びとめて、此二三日にのつそり
奴
(
め
)
に逢ふたか、と石から飛んで火の出し如く声を
迸
(
はし
)
らし問ひかくれば
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
上 母は
嵐
(
あらし
)
に
香
(
か
)
の
迸
(
はし
)
る梅
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
迸
漢検1級
部首:⾡
10画
“迸”を含む語句
迸出
迸発
横迸
迸水
迸沫
迸溢
迸血
迸裂