はし)” の例文
暫時しばらくすると箱根はこね峻嶺しゆんれいからあめおろしてた、きりのやうなあめなゝめぼくかすめてぶ。あたまうへ草山くさやま灰色はひいろくもれ/″\になつてはしる。
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
莫迦ばかげた話を——」と牧場主が云った。「何故と云って、それからその馬車が少しばかりはしり初めた時に、山賊の一人が息せききって駈戻って来たのです。 ...
薔薇の女 (新字新仮名) / 渡辺温(著)
御者ぎよしやは彼女の手荷物と其の子供とをもらものでもしたやうに気おひながら積み込んだ。彼女もそれに打ち乗つた。馬車ははしり出した。彼はそれをなほも見送つてゐた。
煤煙の匂ひ (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
勉強をしたいと思うあとから、とてつもなくだらしのない不道徳な野性が、私の体中をはしりまわっている。みきわめのつかない生活、死ぬるか生きるかの二ツの道……。
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
妹の顔が眼の前から離れず、はしりながら更に「人殺しーい」といったらしいのです。
呪われの家 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)