じん)” の例文
「わたしが引受けます。船は大きいし、じんちゃんはおとなしいし、わたしどもは泳ぎがうまいし、こんなら大丈夫です」
村芝居 (新字新仮名) / 魯迅(著)
殺さんと思ひたちしは偶然の狂乱よりなりし、されども、かくの如き悲劇の、くの如き徒爾とじの狂乱より成りし事を思へば、まがつびの魔力いかにじん且大ならずや。
鬼心非鬼心:(実聞) (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
ドードーッと一じん吹いて来ます風が冷たい風、「夕立や風から先に濡れて来る」と云う雨気あまけで、やがてポツリ/\とやッて来ました、日覆ひよけになった葦簀よしずに雨が当るかと思ううちに
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
はやはや京地まで上洛あれと——御催促も再三ではなかったが、いかようとも岐阜が難所——今川義元が二の舞はしたくないので、機を計っておざったが、その岐阜の手薄に乗じて、雷発らいはつじん
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そんならじんちゃん、お前さんに言うがね。お前はお金持になったんだから、引越しだってなかなか御大層だ。こんな我楽多がらくた道具なんか要るもんかね。わたしに譲っておくれよ、わたしども貧乏人こそ使い道があるわよ」
故郷 (新字新仮名) / 魯迅(著)