臭氣にほひ)” の例文
新字:臭気
わたしはうまれて、おやどもからも、先生せんせいからも、をんなにく臭氣にほひといふことをおしへられたおぼえがない。したがつていまだにらない。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
市街の大半を占めてゐる燒跡には、假屋建ての鑿の音が急がしく響き合つて、まだ何處となく物のくすぶ臭氣にほひの殘つてゐる空氣に新らしい木の香が流れてゐた。
札幌 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
かずは、鳥の肉の殘りと、あやしげな茶碗蒸と、野菜だつた。茶に臭氣にほひのあるのは水のせいだらうと言出したものがあつたが、左樣言はれると飯も同じやうに臭つた。
伊豆の旅 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
夏にでも成ると、土藏の廂間ひあはひから涼しい風の來るところへ御櫃おひつを持出して、その上から竹のすだれを掛けて置いても、まだそれでも暑さに蒸されて御櫃の臭氣にほひが御飯に移ることがあります。
ふうちに、そのつらふたつある病人びやうにんの、その臭氣にほひつたらない。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)