“臭橘”の読み方と例文
読み方割合
からたち100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
暁の冷い空気が顔をつ。臭橘からたちの垣の蜘蛛のに留まつてゐる雨の雫は、矢張真珠のやうに光つてゐる。藪には低いもやが漂うてゐる。八は身慄みぶるひをした。
金貨 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
内の塀の上から真赤な椿の花が見えて、お米蔵のそば臭橘からたちに薄緑の芽の吹いているのが見えるばかりである。
ヰタ・セクスアリス (新字新仮名) / 森鴎外(著)
周囲まはりを見ると、横手の垣と裏の臭橘からたちの垣とが出合ふ処に、真黒に繁つてゐる、大きな木がある。椿つばきの木らしい。八はその下へ這入つてしやがんだ。ここは雨が漏らない。
金貨 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)