“からたち”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
枳殻54.8%
枳殼16.7%
14.3%
臭橘4.8%
枸橘4.8%
枳棘4.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
……その土橋をわたると、枳殻からたちの長い垣根が始まって、道がすこし登りになりながら、雑木林の中へ入り込んで行く。
ソーンフィールドも好きです、その古風こふう閑寂かんじやくさ、古い、からすの木や枳殼からたちの木、灰色の建物たてものの正面、また鋼鐵色の空をうつす暗い窓の線などもね。
手探りでからたちの門を潜ると、家の中は真暗で、台所の三和土たたきの上には、七輪の炭火だけが目玉のように明るく燃えていた。
清貧の書 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
内の塀の上から真赤な椿の花が見えて、お米蔵のそば臭橘からたちに薄緑の芽の吹いているのが見えるばかりである。
ヰタ・セクスアリス (新字新仮名) / 森鴎外(著)
聖堂を出るとき石段でころんで、眼のまわりをそんなにし、また枸橘からたちの垣根で頬をひっ掻いたといった。信用したかどうか、父は黙っていたし、母もなんにも云わずに薬をつけて呉れた。
桑の木物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
活しながらに一枚〻〻皮を剥ぎ取れ、肉を剥ぎとれ、彼等が心臓しんを鞠として蹴よ、枳棘からたちをもて脊をてよ、歎息の呼吸涙の水、動悸の血の音悲鳴の声、其等をすべて人間ひとより取れ、残忍の外快楽なし
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)