“枸橘”の読み方と例文
読み方割合
からたち100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
薄きたない白が、尾を垂れ、歩くにつれて首を揺り乍ら、裏のすきだらけの枸橘からたちの生垣の穴を出入りした姿が今も遠い思い出の奥にかすんで見える。
犬のはじまり (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
聖堂を出るとき石段でころんで、眼のまわりをそんなにし、また枸橘からたちの垣根で頬をひっ掻いたといった。信用したかどうか、父は黙っていたし、母もなんにも云わずに薬をつけて呉れた。
桑の木物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
かたばかりの枸橘からたちの生垣から見渡せた懐しいコローの絵のような松平家の廃園は、丸善のインク工場の壜置場に、裏手の一区画を貸与したことから、一九二三年九月一日の関東大震災後
犬のはじまり (新字新仮名) / 宮本百合子(著)