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芝原
問ふ寶澤
答て我は徳川
無名丸と申す者なり
繼母の
讒言により斯は
獨旅を致す者なり又其
許は何人にやと
尋ね
返せば
彼者芝原へ手を
その年夏のさかりに毎夜
丸の
内の
芝原へいろいろ異様な風をした人が集って来て、
加持祈祷をするのを、市中の者がぞろぞろ見物に出かけた。
吾等の
上陸した
邊は
自然の
儘なる
芝原青々として、
其處此處に、
名も
知れぬ
紅白さま/″\の
花が
咲亂れて、
南の
風がそよ/\と
吹くたびに、
陸から
海までえならぬ
香氣を
吹き
送るなど