“くせ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:クセ
語句割合
83.1%
6.3%
習慣2.1%
習癖1.8%
性癖1.8%
1.5%
1.5%
救世0.6%
下曲0.3%
0.3%
0.3%
習性0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
その頃、崖邸のおじょうさんと呼ばれていた真佐子は、あまり目立たない少女だった。無口で俯向うつむがちで、くせにはよく片唇かたくちびるんでいた。
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「ところが御めえいざってえ段になると奴め最後さいごをこきゃがった。くせえの臭くねえのってそれからってえものはいたちを見ると胸が悪くならあ」
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それでも何うも夜も落々おちおち眠られないし、朝だって習慣くせになっていることが、がらりと様子が変って来たから寝覚めが好くない。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
と膝の上の巫女みこの文をここまで読み下して、藤吉は鼻をこすった。畳のけばをむしった。深く勘考する時の習癖くせである。
他人ひとが悩んでいたり、不幸であったりすると、すぐそのいさかいの中に飛びこんで行きたくなる性癖くせのセエラでした。
馬の百くせを直すよう云々、左の頸筋に指にて水という字を書き、手綱をよく握りてすなわち不動の縛の縄かんじて馬の額に取鞆(?)で卍字を書く、同じ鞭先を持ち
田舎へ行脚あんぎゃに出掛けた時なども、普通の旅籠はたごの外に酒一本も飲まぬから金はいらぬはずであるが、時々路傍ろぼうの茶店に休んで、梨や柿をくうのがくせであるから
くだもの (新字新仮名) / 正岡子規(著)
同金銅釈迦しゃか三尊像や、所謂百済観音くだらかんのん像や、夢殿の救世くせ観世音菩薩像、中宮寺の如意輪観音と称する半跏はんか像の如き一聯いちれんの神品は、ことごとく皆日本美の淵源としての性質を備えている。
美の日本的源泉 (新字新仮名) / 高村光太郎(著)
今度は念入りに退屈な下曲くせの文句が一々伸び伸びと繰返される。藪蚊がますますワンワンと殖えて顔から首すじ、手の甲、向う脛、一面にブラ下る。痒いの何のって丸で地獄だ。
梅津只円翁伝 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
翁はそれから先の上羽あげは前の下曲くせの文句の半枚余りを「ムニャムニャムニャ」と一気に飛ばして、「思い続けて行く程に——イヨー。ホオ」とハッキリ仕手の謡を誘い出すのが通例であった。
梅津只円翁伝 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
亥「冗談じゃアねえ知らしてくれゝばくせ鰹節かつぶしの一本かすっぺい酒の一杯いっぺいでも持って、旦那お芽出度めでとうござえやすと云って来たものを」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
夫人がおりを見て掃除に行くと、『あなた、いつも掃除、掃除、掃除。あなたの悪いくせです』
この読書に対する熱情のほかに、この男にはもう二つ習性くせがあって、それが別の二つの特徴をなしていた。