救世くせ)” の例文
救世くせ観音や中宮寺思惟像の微笑は極度に内面化されたものだ。あの口辺をみていると、何かを言おうとして口ごもっているように感ぜらるる。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
同金銅釈迦しゃか三尊像や、所謂百済観音くだらかんのん像や、夢殿の救世くせ観世音菩薩像、中宮寺の如意輪観音と称する半跏はんか像の如き一聯いちれんの神品は、ことごとく皆日本美の淵源としての性質を備えている。
美の日本的源泉 (新字新仮名) / 高村光太郎(著)
東大寺や薬師寺の本尊のごとき大仏は動かしえぬにしても、救世くせ観音や百済くだら観音等は疎開可能であろう。しかし僕は仏像の疎開には反対を表明した。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
その頃夢殿は修理中であり、折あしく救世くせ観音は拝することが出来なかったが、中宮寺の思惟しゆい像も、薬師寺の聖観音も、三月堂も、高畑の道も、香薬師もみた。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)