性癖くせ)” の例文
たとえ他の忠言で行うにも、一応、自分の考慮と意思から出たものとしなければ実行しない——その性癖くせを知っているので
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
他人ひとが悩んでいたり、不幸であったりすると、すぐそのいさかいの中に飛びこんで行きたくなる性癖くせのセエラでした。
それでお尋ね致しますが、これと目に性癖くせのようなものが陛下にはお有りはなさいませんでしたか?
喇嘛の行衛 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
が、あのお宮は真実ほんとうって了うか知らん? ——自分は何うも夢を真実と思い込む性癖くせがある。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
自分で怒っているうちに一そう激しく怒り出すのがこの人の性癖くせで、口尻くちじりを曲げてこう言い放った時、近江之介は、自らの憤怒ふんぬに圧倒されて、もはや口もけない様子だった。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
何ぞ新らしい証拠——例えば声とか性癖くせとか、動作とか、死んだ良人おっとの血をうけている争われない証拠が出て来はせぬかと、待ちもうけていますけれど、よしんばそうした証拠が出て来たって
二人の母親 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)