習慣くせ)” の例文
主家しゅかの時間だからと思わずに、若い時にせっせと働く習慣くせをつけなければ、一生まめに身体を動かすことのできない人になります。
女中訓 (新字新仮名) / 羽仁もと子(著)
それでも何うも夜も落々おちおち眠られないし、朝だって習慣くせになっていることが、がらりと様子が変って来たから寝覚めが好くない。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
夏のうち毎夜夕涼ゆうすずみに出あるいていた習慣くせがついているので、この時節になっても、夕飯をすますときまって外へ出る。
虫の声 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
酒は手酌が習慣くせだと言って、やっと御免をこうむったが、はじめて落着いて、酒量の少い人物の、一銚子を、しずかに、やがて傾けた頃、屏風の陰から、うかがいうかがい、今度は妙に
みさごの鮨 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ゆっくりおやすみなさいませ! それから何か他に御用はありませんか? ひょっとお前さま、寝しなに誰かに踵を揉ませる習慣くせがありなさるんじゃありませんかね? 亡くなった良人やど
湯場の習慣くせで、運動などを致してる時には知らん人でも挨拶を致します。
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
というのが口癖で、魚売さかなやは自分よりよほど身分違い——さも低級でもあるようにいやしめてののし習慣くせがあったのだ。貞淑な細君は、そんな事を言われてももっとものように押だまって辛棒強く働いていた。