習癖くせ)” の例文
柄になく、思い出にひたっているところ……どうもお金がなくなると思い出にふけるのが、この長庵先生の習癖くせのようで。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
と膝の上の巫女みこの文をここまで読み下して、藤吉は鼻をこすった。畳のけばをむしった。深く勘考する時の習癖くせである。
この若者の人普外ひとなみはずれて几帳面きちょうめん習癖くせを識っている藤吉は、今その手拭いがいつになく皺だらけなのを見て取って、なぜかちょっと変に思ったのだった。
気取っていても普段の習癖くせを出すもんだが——お前さんはその玄内とかってお侍とたびたび碁を打ちなすったということだが、その時先方むこうにみょうちきりんな仕草、まあ、いってみりゃあ
それきり自身は、この奥の書院に端坐して、むずかしい問題で頭をひねっている時の習癖くせで、碁盤を前に、独り碁……と言っても、法どおり石を置いて、攻め手守り攻究こうきゅうしているのではない。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
釘抜藤吉は、それが熟思する時の習癖くせで、ちょこなんと胡坐あぐらを組んで眼を開けたり瞑ったりしながら、しきりに畳の毛波けばむしっている。何かまったくほかのことを考えているようなようすだった。
思案に落ちると、かれは爪を噛む習癖くせがある。
釘抜藤吉捕物覚書:11 影人形 (新字新仮名) / 林不忘(著)