“いき”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:イキ
語句割合
呼吸42.4%
19.6%
10.3%
4.9%
気息3.5%
2.6%
壱岐2.0%
意氣2.0%
呼息1.7%
意気1.2%
(他:120)9.8%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
したがって稚市ちごいちが、この世で始めの呼吸いきを吐くと、その息吹と同時に、一家の心臓が掴み上げられてしまったのだ。
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
独木船の船底に、若い侍が仆れていた。蒼褪めた顔、落ち窪んだ眼、血にまみれた腕や足、呼吸いきのある人間とは見えなかった。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
をとこはよりつて、けば、いきをかけてけものにするわ、こと洪水こうずゐ以来いらい
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
私はこれからゆっくりといきして、ゆるやかに神気を養い、更に私の画業の楽しみをつづけてゆこうかと考えています。
傳「どうも驚いた、熊笹も鮓屋すしやにあると随分いきなもんだが、此様こんなにあっちゃア不意気ぶいきなもんだのう」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
離れの小座敷の縁先に二十三四歳ぐらいの色白のいきな男が、しょんぼり立って、人でも待っているらしく庭をながめていた。
六月 (新字新仮名) / 相馬泰三(著)
『崇妻道歌』一聯いちれんがあると、彼の面目躍如たりでこの一文もいきるのだが、殘念ながら函底に見當みあたらない。
こんな二人 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
私の肉体は、(それは不思議にも私の恋人のそれと、そっくりいきうつしなのだが)何とまあすばらしい美しさであったろう。
火星の運河 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ホテルの門前を警衛する騎兵の銀の冑が霜夜しもよ大通おほどほりに輝き、馬の気息いきが白くつて居た。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
おぬいさんはほっと小さく気息いきをついた。そしてしばらくしてから、やや俯向いたまま震えた声で、しかしはっきりといいだした。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
驚破すわやとって行き見れば、この時しも得三が犠牲いけにえを手玉に取りて、いきみ殺しみなぶりおれる処なりし。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
冬薔薇のような赤いいきいきとした花は、ねずみ色にぼかされた四辺あたりの物象の中にみょうにきわ立って見えた。
赤い花 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
こう決心けっしんした諭吉ゆきちは、なにもしらないふりをして、壱岐いきのところへ、おわかれのあいさつにいきました。
(でも、壱岐いきはわるだくみで、自分じぶん長崎ながさきからおいだしたんだから、まあ、これで、あいこというものだ。)
汽車で露西亞や獨逸を過ぎて巴里へ來ると、先づ目に着くのは佛蘭西の男も女もきやしやな體をして其姿の意氣いきな事である。
巴里の旅窓より (旧字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
意氣いきに、團十郎だんじふらう澁味しぶみくはゝつたと、下町したまちをんなだちが評判ひやうばんした
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その内細君の御腹おなかが段々大きくなって来た。起居たちいに重苦しそうな呼息いきをし始めた。気分もく変化した。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
けれども呼息いきをするたびに春のにおいみゃくの中に流れ込む快よさを忘れるほど自分は老いていなかった。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
けれどもその国の慣れて居る人間の眼には、その煤黒い下に赤味のあるのが非常にすいとか意気いきとかいうのだそうです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
怪傑かいけつと怪傑、勇士ゆうしと勇士、五三の桐の幕のなかには渾然こんぜんとうちとけ合って、意気いきりんりんたるものがある。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いよいよ明日あすまんじ丸が出るという今宵。お船蔵の混雑にまぎれて、大胆にも、この下屋敷のいきまで足を踏み入れてきた。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
——要するに、いくら城持となっても、眷族けんぞくや家臣がふえてきても、彼は依然たる猛将のいきから一歩も出ていないところがあった。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
浴衣は秋草を染め出した中形で、なか/\にいきなものですが、袖を半分から下、刄物で切り捨て、下の方には物凄いほど血が飛沫しぶいてをります。
いきがつたり、つうがつたりする趣味は全然無かつたし、女と見れば物にしないでは置かない人々の所業も、彼の内部にひそむ人道主義が許さなかつた。
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
死んだ祖父に当る人によく似たと、母が時々言つたが、底無しの漏斗じやうご、一升二升では呼気いきが少し臭くなる位なもの。
刑余の叔父 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
丁度フラスコの口に斜めに呼気いきを吹き付ける時に出る音と同じ訳で、両掌の間の空洞内の空気が振動して音を出すのである。
歳時記新註 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
といってあぐらのひざで貧乏ゆすりをし始めた。さすがの葉子も息気いきをつめて、泣きやんで、あきれて倉地の顔を見た。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
岡はハンカチで首のまわりをぬぐって、ダブル・カラーの合わせを左の手でくつろげながら少し息気いき苦しそうにこう答えた。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
火はその習ひにしたがひてしばらく鳴りて後とがれるさきをかなたこなたに動かし、氣息いきを出していひけるは 五八—六〇
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
上り終れる時はわが氣息いきいたく肺よりしぼられ、我また進むあたはざれば、着くとひとしくかしこに坐れり 四三—四五
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
窓は閉めて、空気の通う所といっては階子の上り口のみであるから、ランプの油煙や、人の匂や、変に生暖い悪臭いいきれた気がムーッと来る。
世間師 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)
目「なに寒い……当月は八月である、いまだ残暑もうせせず、夜陰といえどもいきれて熱い事があるのに、手前は頭巾を被りたるは余程寒がりと見ゆるな」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
小菅へ行く度に、いきにもかえりにも僕はこの障子の前を通るのを楽にしていた。
ヰタ・セクスアリス (新字新仮名) / 森鴎外(著)
駒下駄と云ふこしらへにて、きつかけなしに揚幕より出で、金五郎を呼び止めて意見をし、花道にいきかけたる勘十郎に向ひて、堪忍の歌を繰返し、手に持ちし金包を見て
両座の「山門」評 (新字旧仮名) / 三木竹二(著)
それでなくっても先刻さっきからのいきがかりじょう、彼は天然自然の返事をお秀に与えるのが業腹ごうはらであった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いきがかりじょう一種の関係で因果いんがづけられた彼らはしだいに話をよそへ持って行く事が困難になってきた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ついては壹岐いき様から斯様かよう々々の伝言で、お手紙はれですからお届け申すと丁寧にしたためてって
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
実を申せば壹岐いきよりも私の方がかえって罪が深いようだ。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
また馬様のくびもと頭をもたぐるに大力を出す、口いきを吹かば火焔を成し、そのさま地獄の兇鬼を見るに異ならず
すこし離れてこの光景ありさまを眺めると、生々なまなまとした毛皮からは白いいきの立つのが見える。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
何だつて價値のない生命にしがみつかうと藻掻くのだらう? ロチスータ氏がまだ生存いきてゐるのを知り、または信じてゐるから。
その様子が、まるで、お互い生存いきていた頃のことを、回想し合っているかのようであった。
鸚鵡蔵代首伝説 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その女の前には鍋に何か煮てあり、それから白い蒸気いきが立ち、鍋の下に赤い火の燃えているところが画いてある。
リギ山上の一夜 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
半焼けの器物が無惨に散らばって、黒焦くろこげの木はプスプスと白い蒸気いきを吹いていた。
琥珀のパイプ (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
そして途上、江州の伊岐いきノ宮の小城を一昼夜で攻めつぶし、前線に着いてからでも、入念に巡察をおこなっていた。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
次に伊岐いきの島を生みたまひき。
かくして太織の蒲団を離れたる余は、顫えつつ窓を開けば、依稀いきたる細雨さいうは、濃かに糺の森をめて、糺の森はわがめぐりて、わが家の寂然せきぜんたる十二畳は、われを封じて、余は幾重いくえともなく寒いものに取り囲まれていた。
京に着ける夕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
静かなる事さだまって、静かなるうちに、わが一脈いちみゃくの命をたくすると知った時、この大乾坤だいけんこんのいずくにかかよう、わが血潮は、粛々しゅくしゅくと動くにもかかわらず、音なくして寂定裏じゃくじょうり形骸けいがい土木視どぼくしして、しかも依稀いきたる活気を帯ぶ。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「しかし、長吉、その方が今まで盗みとった金は、幸いいずれも十両をこえていないからよいが、もし盗みとった財布に十両はいって居れば、その命のいきはなかったぞ。それも、覚悟の前か」
奉行と人相学 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
彼は二三度大きくいきをしてから眼を開けた。
港の妖婦 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
停車場から宿屋まで、僅か一町足らずの間に、夜風の冷に頥を埋めた首卷が、呼氣いき濕氣しめりけで眞白に凍つた。
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
目を瞑ると、好い香のするはなびらの中に魂が包まれた樣で、自分の呼氣いきが温かな靄の樣に顏を撫でる。
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
驚破すわといふ時、綿わたすじ射切いきつたら、胸に不及およばず咽喉のんど不及およばずたまえて媼はただ一個いっこ朽木くちきの像にならうも知れぬ。
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
弾丸をもって錠前を射切いきるのです。
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
平岡のうちまへた時は、くもつたあたまあつく掩ふかみ根元ねもと息切いきれてゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
平岡の家の前へ来た時は、曇った頭を厚くおおう髪の根元が息切いきれていた。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
あのウマさうにいきの出るやつを輪切にした水芋か、黄色くホコ/\した栗芋かにブツカる時には殊に嬉しく思ひました。
現に「生き」は「いき」にして「生命いのち」はいきの内なれば、氣の「いき」の義は一轉して人の精神情意と其の威燄光彩の義となる。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
休茶屋で、ラムネにかわいた咽喉のどいきる体をいやしつつ、帰路についたのは、日がもう大分かげりかけてからであった。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
言うまでも無くが光を以て天下をおおおう、天下をして吾が光を仰がせよう、といきり立って居るのだ。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)