“いく”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:イク
語句割合
79.9%
畏懼3.8%
2.5%
異口2.1%
2.1%
1.3%
1.3%
偉躯0.8%
如何0.8%
維駒0.8%
(他:11)4.6%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
大根だいこよこいくつかにつて、さらにそれをたてつて短册形たんざくがたきざむ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「五せんりんまういくらつていふんだ、さうすつと先刻さつきのはいくらの勘定かんぢやうだつけな」
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
恐らく今度も、矛盾撞着が針袋のように覆うていて、あの畏懼いくと嘆賞の気持を、必ずや四度よたび繰り返すことであろう。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
自分のまわりを眺めたときのあの、畏懼いくと、恐怖と、嘆美との感じを、私は決して忘れることはありますまい。
いくさのすんだ今こそ昔通りの生活をあたりまへだと思つてゐるけど、戦争中はこんな昔の生活は全然私の頭に浮んでこなかつた。
続戦争と一人の女 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
「重くはないさ。」と、鬚があり口のかたちがある鉄の面の上で重い作り声がした。「だけど俺には之を着ては到底いくさは出来さうもない。」
籔のほとり (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
と杉山と黒須先生が異口いく同音にほめた。照彦様はまもなくご機嫌が直った。富田さんも黒須先生も安心して釣り始めた。
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
本堂も隙間がない位に一杯に信者が集つて、異口いく同音に誦経ずきやうした。その中に雑つて、慈海の誦経の声は一段高く崇厳に高い天井に響いて聞えた。
ある僧の奇蹟 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
武士の命を三ぶんして女と酒といくさがその三カ一を占むるならば、ウィリアムの命の三二は既に死んだ様なものである。
幻影の盾 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「そんな平気な事で、いくさが出来るかい」と女は、委細いさい構わず、白い顔を久一さんの前へ突き出す。久一さんと、兄さんがちょっと眼を見合せた。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
衵浜あこめはま小戸おどの旧蹟、芥屋けやいくの松原の名勝を按配して、しかも黒田五十五万石の城下に遠からず。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
かれの心はその造られし時、いくる力をもてたゞちに滿たされたりしかば、母に宿やどりゐてこれを豫言者たらしめき 五八—六〇
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
『何処へいくのだらう、彼男は。』と見ると、高柳は素早くらちを通り抜けて、引隠れる場処を欲しいと言つたやうな具合に、旅人の群に交つたのである。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
セエラがモントモレンシイ家の前を通りかかると、子供達はどこかの夜会へでも出かけるらしく、ちょうど舗道ペーヴメントを横切って馬車の方へ歩いていくところでした。
といった兄には、やはり、ちょっと兄らしい重みがあった。その偉躯いくとともに、武芸家として、また、世事に通じた大名らしくない大名として、平常辰馬の尊敬している兄でもあった。
元禄十三年 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「これは汝の偉躯いくに似合うであろう」
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
如何いくよめいびりの胡麻白ごましろばあさんでも此時このときだけはのんびりして幾干いくら善心ぜんしんちかへるだらうとおもはれる。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
『イヤそれだれだつて道具だうぐります。如何いく上手じやうずでも道具だうぐわるいと十ぴきれるところは五ひきれません。』
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
蕪村の俳諧を学びし者月居、月渓、召波、几圭きけい維駒いく等皆師の調を学びしかども、ひとりその堂に上りし者を几董きとうとす、几董は師号を継ぎ三世夜半亭をとなう。
俳人蕪村 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
山吹も散らで貴船きぶね郭公ほととぎす 維駒いく
俳句とはどんなものか (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
いくさんがせっかくおいでくだすったのに、あいにく私がこんなふうで、何もご馳走もできなくって、ほんとうに申しわけがない」
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
もう一本のものには、「時雨しぐれ」という銘があって、そのわきに、虫のような細字で「いく」という一字がってあった。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
甲斐の二度めの妻は、津田玄蕃げんばの妹で、名を伊久いくといい、今年二十九歳になる。
また尻に九孔ありと珍しそうに書きあるが他の物の尻にはいくつ孔あるのか、随分種々いろいろと物を調べた予も尻の孔の数まで行き届かなんだ。
「何、うめあわせをせよというか。いと易いことじゃ、何程いくらでもしよう。鉄棒の刺身はいかがじゃな」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
須弥壇しゃみだん上に立つ堂々一丈二尺の威躯いくは実に荘厳であり、力が充実しており、またほの暗い天井のあたりに仰がれる尊貌そんぼうは沈痛を極めている。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
幾干いくらだと思う。——お思いなすって、槙村先生。」
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ソノーなんだとネー、何時までもそんなに小供の様な心持でいちゃアなりませんと、それも母親さんのようにこんな気楽な家へお嫁に往かれりゃアともかくもネー、しヒョッと先にしゅうとめでもあるとこいくんで御覧
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
忽地たちまちにして其の金光の一道は二道となり、三道となり、四道五道となり、奕々灼々として、火龍舞ひ、朱蛇驚き、萬斛の黄金の烘爐を溢れて光燄熾盛、烈々煜いく々たる炎を揚ぐるが如くになると、紅玉熔け爛れんとする大日輪が滄波の間からきしり出す。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
盗難のあったれ以来、崖下の庭、古井戸の附近ふきんは、父を除いて一家中いっかちゅう異懼いく恐怖の中心点になった。
(新字新仮名) / 永井荷風(著)
上士の残夢いまめずしていんにこれをむものあれば、下士はかえってこれを懇望こんぼうせざるのみならず、士女のべつなく、上等の家にいくせられたる者は実用に適せず、これと婚姻を通ずるも後日ごじつ生計せいけいの見込なしとて、一概に擯斥ひんせきする者あり。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)