“いく”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:イク
語句割合
81.9%
畏懼3.4%
2.7%
2.0%
異口1.7%
1.3%
偉躯1.0%
1.0%
0.7%
如何0.7%
維駒0.7%
伊久0.3%
0.3%
何程0.3%
威躯0.3%
幾干0.3%
0.3%
烈々煜0.3%
異懼0.3%
0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
山家やまがあたりにむものが、邸中やしきぢう座敷ざしきまでおほききのこいくつともなくたゝるのにこうじて、大峰おほみね葛城かつらぎわたつた知音ちいん山伏やまぶしたのんでると
くさびら (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
恐らく今度も、矛盾撞着が針袋のように覆うていて、あの畏懼いくと嘆賞の気持を、必ずや四度よたび繰り返すことであろう。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
「重くはないさ。」と、鬚があり口のかたちがある鉄の面の上で重い作り声がした。「だけど俺には之を着ては到底いくさは出来さうもない。」
籔のほとり (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
弥陀如来の本願で念仏するものは悪道に落されず迎えとられるのだ。念仏をすることは一騎当千の強者になるよりもえらいことだぞ。お前もいくびとなんぞは早く止めて念仏をしろ念仏をしろ
法然行伝 (新字新仮名) / 中里介山(著)
と杉山と黒須先生が異口いく同音にほめた。照彦様はまもなくご機嫌が直った。富田さんも黒須先生も安心して釣り始めた。
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
イエスこたえけるは人はパンのみにていくるものにあらずただ神の口よりいづすべてことばるとしるされたり
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
魯達はもう例の憲兵服をまとった偉躯いくを場末町にあらわして、安旅籠やすはたごの魯家の入口に立っていた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
セエラがモントモレンシイ家の前を通りかかると、子供達はどこかの夜会へでも出かけるらしく、ちょうど舗道ペーヴメントを横切って馬車の方へ歩いていくところでした。
もう一本のものには、「時雨しぐれ」という銘があって、そのわきに、虫のような細字で「いく」という一字がってあった。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
如何いくよめいびりの胡麻白ごましろばあさんでも此時このときだけはのんびりして幾干いくら善心ぜんしんちかへるだらうとおもはれる。なつし、清明せいめい季節きせつ高地テーブルランド旦道たんだうはしときなどさらし。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
山吹も散らで貴船きぶね郭公ほととぎす 維駒いく
俳句とはどんなものか (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
甲斐の二度めの妻は、津田玄蕃げんばの妹で、名を伊久いくといい、今年二十九歳になる。結婚するとすぐに、甲斐は江戸へ去り、伊久はあとに残った。
また尻に九孔ありと珍しそうに書きあるが他の物の尻にはいくつ孔あるのか、随分種々いろいろと物を調べた予も尻の孔の数まで行き届かなんだ。
「何、うめあわせをせよというか。いと易いことじゃ、何程いくらでもしよう。鉄棒の刺身はいかがじゃな」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
須弥壇しゃみだん上に立つ堂々一丈二尺の威躯いくは実に荘厳であり、力が充実しており、またほの暗い天井のあたりに仰がれる尊貌そんぼうは沈痛を極めている。慈悲の暖かさも悟達の静けさもみられない。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
幾干いくらだと思う。——お思いなすって、槙村先生。」
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それも母親さんのようにこんな気楽な家へお嫁に往かれりゃアともかくもネー、しヒョッと先にしゅうとめでもあるとこいくんで御覧、なかなかこんなに我儘わがまま気儘をしちゃアいられないから
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
忽地たちまちにして其の金光の一道は二道となり、三道となり、四道五道となり、奕々灼々として、火龍舞ひ、朱蛇驚き、萬斛の黄金の烘爐を溢れて光燄熾盛、烈々煜いく々たる炎を揚ぐるが如くになると
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
あえて私のみではない。盗難のあったれ以来、崖下の庭、古井戸の附近ふきんは、父を除いて一家中いっかちゅう異懼いく恐怖の中心点になった。
(新字新仮名) / 永井荷風(著)
上士の残夢いまめずしていんにこれをむものあれば、下士はかえってこれを懇望こんぼうせざるのみならず、士女のべつなく、上等の家にいくせられたる者は実用に適せず
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)