“蒸気”のいろいろな読み方と例文
旧字:蒸氣
読み方割合
ゆげ23.5%
いき17.6%
じょうき17.6%
スチーム11.8%
いきれ11.8%
けむ5.9%
むしけ5.9%
ステイム5.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
みなわ、と云ったことばに、山西はびっくりして蒸気ゆげ濛濛もうもうと立っている鍋越しに小女こむすめの方を見た。小女こむすめって棚の方へ往こうとして、ちらりと客の方を見て笑った。
水魔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
厚ぼたい衣を著て、頭には水色のきれをかぶっている。その女の前には鍋に何か煮てあり、それから白い蒸気いきが立ち、鍋の下に赤い火の燃えているところが画いてある。
リギ山上の一夜 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
かぜがなくていいな。」とゆめなかだけれどおもっていたときです。蒸気じょうきポンプのわだちが、あちらのひろとおりをよこほうがったようです。
火事 (新字新仮名) / 小川未明(著)
左右の壁には火のような蒸気スチーム鉄管パイプが一面にぬたくっているので、通り抜けただけでも呼吸いきが詰まって眼がまわる上に、手でも足でも触れたら最後大火傷おおやけどだ。
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
崖下ながら、ここの屋根に日は当るが、軒もひさしもまだ雫をしないから、狭いのに寂然しんとした平屋の奥の六畳に、火鉢からやや蒸気いきれが立って、炭の新しいのが頼もしい。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
赤飯おこはうれしいな、じつ今日けふなんだ、山下やましたとほつた時、ぽツ/\と蒸気けむつてたからひてえと思つたんだが、さうか、其奴そいつ有難ありがてえな、すぐはう。
八百屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
蒸気むしけの陽気に暑がって阿弥陀あみだかぶりに抜き上げた帽子の高庇たかびさしの下から、青年の丸い広い額が現われ出すと、むす子に似た高い顎骨あごぼねも、やや削げた頬肉ほおにくも、つんもりした細く丸い顎も
母子叙情 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
連合軍の食糧を満載して、前夜バルセロナの港を出帆しゅっぱんしたコロナ号は、燈火がれないように、窓という窓を毛布でおおって、木の葉のように揺れながら、けんめいに蒸気ステイムをあげていた。
戦雲を駆る女怪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)