“いきれ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
瘟気33.3%
蒸気16.7%
蒸香16.7%
息蒸8.3%
熱蒸8.3%
燥気8.3%
蒸氣8.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
毎夜々々寝苦しいお島は、白い地面の瘟気いきれの夜露に吸取られる頃まで、外へ持出した縁台に涼んでいたが、近所の娘達や若いものも、時々そこに落会った。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
早や乾いた蒸気いきれなかに、すきなく打った細いくいと見るばかり、幾百条とも知れない、おなじような蛇が、おなじようなさまして、おなじように、揃って一尺ほどずつ、砂の中から鎌首をもたげて
絵本の春 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
時々、夥しい草葉の蒸香いきれが風と共に入つて來る。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
砂の息蒸いきれの匂いが何処からともなくする、二合五勺に辿り着いた頃には、近くは勾玉まがたま状に光れる山中湖と、その湖畔の村落と、遠くは函根足柄を越えて、大磯平塚の海岸、江の島まで見えた。
雪中富士登山記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
蝋燭のほのほと炭火の熱と多人数たにんず熱蒸いきれと混じたる一種の温気うんきほとんど凝りて動かざる一間の内を、たばこけふり燈火ともしびの油煙とはたがひもつれて渦巻きつつ立迷へり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
こまやかに生茂おひしげれる庭の木々の軽々ほのかなる燥気いきれと、近きあたりに有りと有る花のかをりとを打雑うちまぜたる夏の初の大気は、はなはゆるく動きて、その間に旁午ぼうごする玄鳥つばくらの声ほがらかに、幾度いくたびか返してはつひに往きける跡の垣穂かきほ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
えますとも、乾溝からどぶ背後うしろがずらりと垣根かきねで、半分はんぶんれたまつおほき這出はひだしてます。そのまへに、つくねた黒土くろつちから蒸氣いきれつやうなかたちるんですよ。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)