“擡”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
もた89.6%
あ5.6%
もちあ1.3%
モタ1.0%
もたげ0.8%
もちや0.8%
あげ0.3%
も0.3%
もちあが0.3%
もちゃ0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
長椅子の隅に丸まって少女雑誌を読んでいた晴子が、顔を擡(もた)げおかっぱの髪を頬から払いのけながら、意を迎えるように口を挾んだ。
海浜一日 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
それが眼に入るか入らぬに屹(きっ)と頭(かしら)を擡(あ)げた源三は、白い横長い雲がかかっている雁坂の山を睨(にら)んで、つかつかと山手の方へ上りかけた。
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
石黒氏は父親(てゝおや)に催促せられて、今まで下げ詰めだつた頭を擡(もちあ)げた。見ると馬の上で左衛門尉の二つの眼が蝋燭のやうに光つてゐた。
時々頭を擡(モタ)げると、いつも此少年の目に触れた。大学病院へ通つてゐましたか、ぐらゐの話を、人みしりする私でもしかけて見たくなつた程、好感に充ちた無言(ムゴン)の行(ギヤウ)であつた。
雪の島:熊本利平氏に寄す (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
この障礙は上(かみ)に抽斎の経歴を叙して、その安政中の末路に近づいた時、早く既に頭(こうべ)を擡(もたげ)げて来た。これから後(のち)は、これが弥(いよいよ)筆端に纏繞(てんじょう)して、厭(いと)うべき拘束を加えようとするであろう。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
此は、横佩家へも出入し、大伴家へも初中終来る古刀自(ふるとじ)の人のわるい内証話であつた。其を聞いて後、家持自身も、何だか好奇心に似たものが、どうかすると頭を擡(もちや)げて来てゐる。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
富「いやさ、お顔を見てはなりませんよ、頭(かしら)を擡(あげ)ろと仰しゃった時に始めて首を上げて、殿様のお顔をしげ/″\見るのだが、粗匇(ぞんざい)にしてはなりませんよ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
予(かね)てから、顔は充分見知っている仲、自然にその事が、談話(はなし)の皮切りとなり、私が頭を擡(も)ち上げると、きまり悪そうに其所(そこ)を去ったことなども笑い話の中に出て
後ろから起って来て前へ廻り、伸びて行って家の戸へ頭がひょっくり擡(もちあが)ったりする。慌(あわただ)しい影の変化を追っているうちに自分の眼はそのなかでもちっとも変化しない影を一つ見つけた。
泥濘 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
小(ちッ)ぽけなむくむくしたのが重なり合って、首を擡(もちゃ)げて、ミイミイと乳房を探している所へ、親犬が余処(よそ)から帰って来て、其側(そのそば)へドサリと横になり、片端(かたはし)から抱え込んでベロベロ舐(なめ)ると
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)