トップ
>
擡
>
もちあ
ふりがな文庫
“
擡
(
もちあ
)” の例文
石黒氏は
父親
(
てゝおや
)
に催促せられて、今まで下げ詰めだつた頭を
擡
(
もちあ
)
げた。見ると馬の上で左衛門尉の二つの眼が蝋燭のやうに光つてゐた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
堅い地を割って、草の芽も青々とした頭を
擡
(
もちあ
)
げる時だ。彼は自分の
内部
(
なか
)
の方から何となく
心地
(
こころもち
)
の好い
温熱
(
あたたかさ
)
が
湧
(
わ
)
き上って来ることを感じた。
刺繍
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
病人は、まだ自分が生きて居たかといふ風に、頭を
擡
(
もちあ
)
げて部屋の内を見廻した。
微
(
かす
)
かなヒステリイ風の
笑
(
ゑみ
)
が暗い頬に上つた頃は、全くの正気に
復
(
かへ
)
つて居た。
死の床
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
まあ、新平民の中から男らしい
毅然
(
しつかり
)
した青年なぞの産れやうが無い。どうして
彼様
(
あん
)
な手合が学問といふ方面に頭を
擡
(
もちあ
)
げられるものか。其から
推
(
お
)
したつて、瀬川君のことは解りさうなものぢやないか。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
穢多としての悲しい自覚はいつの間にか其頭を
擡
(
もちあ
)
げたのである。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
青々とした芽は、
其処
(
そこ
)
にも、
是処
(
ここ
)
にも、頭を
擡
(
もちあ
)
げていた。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
擡
漢検1級
部首:⼿
17画
“擡”を含む語句
擡頭
擡上
半晌擡身