志賀の鼻を出離れても、内海とかはらぬ静かな凪ぎであつた。舳の向き加減で時たまさし替る光りを、蝙蝠傘に調節してよけながら、玄海の空にまつ直に昇る船の煙に、目を凝してゐた。艫のふなべり枕に寝てゐて、しぶき一雫うけぬ位である。時々、首を擡げて見や …
著者 | 折口信夫 |
ジャンル | 歴史 > 地理・地誌・紀行 > 日本 |
ジャンル | 社会科学 > 風俗習慣・民俗学・民族学 > 民間信仰・迷信[俗信] |
文字種別 | 新字旧仮名 |
読書目安時間 | 約41分(500文字/分) |
朗読目安時間 | 約1時間9分(300文字/分) |