もたげ)” の例文
この障礙はかみに抽斎の経歴を叙して、その安政中の末路に近づいた時、早く既にこうべもたげげて来た。これからのちは、これがいよいよ筆端に纏繞てんじょうして、いとうべき拘束を加えようとするであろう。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
和尚が長い頭巾のを、木菟みみずくむくりともたげると、片足を膝頭ひざがしらへ巻いて上げ、一本のすねをつッかえ棒に、黒い尻をはっと振ると、組違えに、トンと廻って、両のこぶしを、はったりと杖にいて
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
木挽町こびきちょう五丁目辺の或る待合まちあいへ、二三年以前新橋しんばし芸妓げいぎ某が、本町ほんちょう辺の客をくわえ込んで、泊った事が有った、何でも明方だそうだが、客が眼を覚して枕をもたげると、坐敷のすみに何か居るようだ
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)