“けむ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
64.0%
33.9%
0.8%
0.4%
蒸気0.4%
蒸氣0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
わたしは、この間の言い合い以来、この男がいささかけむたくなったと同時に、しん底から彼にきつけられるような気持もしていた。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
波は漾々ようようとして遠くけむり、月はおぼろに一湾の真砂まさごを照して、空もみぎは淡白うすじろき中に、立尽せる二人の姿は墨のしたたりたるやうの影を作れり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
山岸は力のつよい小波のように動きはじめた雰囲気を強いて無視し、わざとらしくけむたそうに眉根をしかめて丸っこい手ですったマッチから煙草に火をつけている。
乳房 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
過了ギテ残雨けむリ/江上九月尚風多シ/縄枢我ハ擬ス今ノ原子ニ/屋漏誰カ思ハン古ノ魯公ヲ/暮歳期有リテ床下ニ蟋アリ/故人たより無シ水辺ノ鴻/一家ベテいだク悲秋ノ感/貧病相依ル風雨ノうち
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
赤飯おこはうれしいな、じつ今日けふなんだ、山下やましたとほつた時、ぽツ/\と蒸気けむつてたからひてえと思つたんだが、さうか、其奴そいつ有難ありがてえな、すぐはう。
八百屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
そこで女中ぢよちうをして近所きんじよ燒芋やきいもはせ、うづたかぼんせて、かたはらへあの名筆めいひつもつて、いはく「御浮氣おんうはきどめ」プンとにほつて、三筋みすぢばかり蒸氣けむところを、あちらさまから、おつかひもの、とつてた。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)