“けぶ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
41.8%
22.0%
気振19.8%
希有6.6%
稀有4.4%
1.1%
今日1.1%
奇怪1.1%
毛深1.1%
氣振1.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
裂けばけぶ蜜柑みかんの味はしらず、色こそ暖かい。小春こはるの色は黄である。点々とたまつづる杉の葉影に、ゆたかなる南海の風は通う。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
出船はその島を廻つて隱れ、入船はその島の角に現れ、夕立はその島の方から雨脚あまあしを急がせ、落日はよくその島を金色こんじきけぶらせた。
避病院 (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
だが、そんなことは気振けぶりにも見せなんだ。己は人並の恋なぞ出来る身体ではなかったのだ。この世のことは何もかもあきらめ果てていた。
一寸法師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
一体、悪魔を払う趣意だと云うが、どうやら夜陰のこの業体ぎょうていは、魑魅魍魎ちみもうりょうの類を、呼出し招き寄せるに髣髴ほうふつとして、実は、希有けぶに、怪しく不気味なものである。
茸の舞姫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
第一の童子 其くせ声は鳩のやうで、ぐはう、ぐはう、ぐはう、ぐはうと啼く稀有けぶな方丈様ぢゃ。
南蛮寺門前 (新字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
けぶつてえのそつちへおんさなくつちややうねえや」風呂ふろからまゝぬぐひもせぬあし下駄げた穿いてはだかしり他人たにんけてつた一にんうしろかへりみていつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
けぶつてえのつたらひど晴々せい/\してへえつてるやうぢやなくなつた。莫迦ばかつちやつたえ」かね博勞ばくらうはがぶりと風呂ふろおとをさせてたちながらいつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
今日けぶはふたゝびぬものを。
ゴンドラの唄 (旧字旧仮名) / 吉井勇(著)
奇怪けぶの奴らじゃ、いかに高貴とはいえ、小判一枚持たぬ身で、はるばる加賀まで参るとは、恐らく狂人か白痴であろうぞ!」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その上、景岡秀三郎は、少年としては珍しく、毛深けぶかかったのです。腕や脚には、もうぎわの金色な毳毛うぶげが、霞のように、生えていたのです。
足の裏 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
平次も少し呆氣あつけに取られました。先刻までは、そんな事を氣振けぶりにも見せず、平次に縋り付かぬばかりに、敵を討つてくれと泣いた安右衞門です。