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けぶ
「
燻つてえのそつちへおん
出さなくつちや
仕やうねえや」
風呂から
出た
儘拭ひもせぬ
足に
下駄を
穿いて
裸の
臀を
他人に
向けて
立つた一
人が
後を
顧みていつた。
「
燻つてえの
無く
成つたら
酷く
晴々してへえつてる
樣ぢやなくなつた。
俺ら
莫迦な
目に
逢つちやつたえ」
兼博勞はがぶりと
風呂の
音をさせて
立ながらいつた。
「
此りや
燻つてえ」と
復沈んだ
儘ごし/\と
垢を
落して
居たが