稀有けぶ)” の例文
その時分から酒を飲んだから酔って転寝うたたねでもした気でいたろう。力はあるし、棺桶かんおけをめりめりと鳴らした。それが高島田だったというからなお稀有けぶである。
絵本の春 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
第一の童子 其くせ声は鳩のやうで、ぐはう、ぐはう、ぐはう、ぐはうと啼く稀有けぶな方丈様ぢゃ。
南蛮寺門前 (新字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
で、思い思いではあるけれども、各自めいめい暗がりの中を、こう、……不気味も、好事ものずきも、負けない気もまじって、その婆々ばばあだか、爺々じじいだか、稀有けぶやつは、と透かした。が居ない……
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
真個まつたく、この暫時しばらくあひだ稀有けぶであつた。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)