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息気
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いき
ふりがな文庫
“
息気
(
いき
)” の例文
海気にあって
息気
(
いき
)
をふき返した人魚のような葉子のかたわらにおいて見ると、身分、閲歴、学殖、年齢などといういかめしい資格が
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
我存在の中心を古手の思想に託して、
夫
(
それ
)
で
自
(
みずか
)
ら高しとしていたのだ。が、私の別天地は
譬
(
たと
)
えば
塗盆
(
ぬりぼん
)
へ
吹懸
(
ふきか
)
けた
息気
(
いき
)
のような物だ。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
ドル臭しとは
黄金
(
こがね
)
の力何事をもなし得るものぞと堅く信じ、みやびたる心は少しもなくて、学者、宗教家、文学者、政治家の
類
(
たぐい
)
を一笑し倒さんと意気込む人の
息気
(
いき
)
をいう
おとずれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
番人も
酷
(
むご
)
いぞ、頭を壁へ叩付けて置いて、
掃溜
(
はきだめ
)
へポンと
抛込
(
ほうりこ
)
んだ。まだ
息気
(
いき
)
が
通
(
かよ
)
っていたから、それから一日苦しんでいたけれど、
彼犬
(
あのいぬ
)
に
視
(
くら
)
べればおれの方が
余程
(
よッぽど
)
惨憺
(
みじめ
)
だ。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
その次第を告げますと、そりゃあなた何だ、シナの人などがこの辺に出て来るとどうもこの辺は
息気
(
いき
)
(空気の稀薄な事を知らぬゆえ)が悪いもんだから血を吐くということを聞いて居る。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
▼ もっと見る
しかもそれをあの女に特有な多恨らしい、冷ややかな、さびしい表現法で、そして
息気
(
いき
)
づまるような若さと若さとの共鳴の中に……。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
息気
(
いき
)
はつまる、冷汗は流れる、顔は
※
(
あか
)
くなる、
如何
(
いか
)
にしても言切れぬ。
暫
(
しば
)
らく無言でいて、更らに出直おして
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
といいながら懐から
折木
(
へぎ
)
に包んだ大福を取出して、その一つをぐちゃぐちゃに押しつぶして
息気
(
いき
)
のつまるほど妻の口にあてがっていた。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
尚お
未
(
いま
)
だに文三の智識で考えて、文三の感情で感じて、文三の
息気
(
いき
)
で呼吸して、文三を愛しているならば、文三に厭な事はお勢にもまた厭に相違は有るまい。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「愛子は」と口もとまでいいかけて、葉子は恐ろしさに
息気
(
いき
)
を引いてしまった。倉地の
細君
(
さいくん
)
の事までいったのはその夜が始めてだった。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
一瞬時なりともこの苦悩この煩悶を
解脱
(
のが
)
れようと
力
(
つと
)
め、
良
(
やや
)
暫
(
しば
)
らくの間というものは身動もせず
息気
(
いき
)
をも吐かず死人の如くに成っていたが、
倏忽
(
たちまち
)
勃然
(
むっく
)
と
跳起
(
はねお
)
きて
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
岡はハンカチで首のまわりをぬぐって、ダブル・カラーの合わせを左の手でくつろげながら少し
息気
(
いき
)
苦しそうにこう答えた。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
驚いて目をポッチリ明き、いたいげな声で悲鳴を揚げながら、四
足
(
そく
)
を張って
藻掻
(
もが
)
く
中
(
うち
)
に、頭から何かで包まれたようで、真暗になる。窮屈で
息気
(
いき
)
が
塞
(
つま
)
りそうだから、出ようとするが、出られない。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
毛の根は汗ばんだ。その美しい暗緑の
瞳
(
ひとみ
)
は、涙よりももっと輝く分泌物の中に浮き漂った。軽く開いた
唇
(
くちびる
)
は熱い
息気
(
いき
)
のためにかさかさに乾いた。
クララの出家
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
そして
一時
(
いっとき
)
も早くこんな
息気
(
いき
)
づまるように圧迫して来る
二人
(
ふたり
)
の間の心のもつれからのがれる
術
(
すべ
)
はないかと思案していた。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
息気
(
いき
)
づまるようなけさの光景や、過去のあらゆる回想が、入り乱れて現われて来ても、葉子はそれに対して毛の末ほども心を動かされはしなかった。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
美しく着飾った女中が主人の部屋の
襖
(
ふすま
)
をあけると、
息気
(
いき
)
のつまるような強烈な不快な匂が彼れの鼻を強く襲った。そして部屋の中は夏のように暑かった。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
幸に母のいる方には後ろ向けに、アグネスに寄り添って
臥
(
ね
)
ていたから、そのまま
息気
(
いき
)
を殺して黙っていた。
クララの出家
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
彼れはそれに
息気
(
いき
)
を吹きかけて証書に
孔
(
あな
)
のあくほど押しつけた。そして渡された一枚を判と一緒に丼の底にしまってしまった。これだけの事で飯の種にありつけるのはありがたい事だった。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
息
常用漢字
小3
部首:⼼
10画
気
常用漢字
小1
部首:⽓
6画
“息”で始まる語句
息
息子
息吹
息女
息杖
息災
息張
息切
息長
息苦