いき)” の例文
私はいきがかり上いやだとは云えませんから承諾の旨を答えました。が腹の中では厄介やっかいな事になってしまったと思わざるを得なかったのです。
私の個人主義 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そうして、「意気方」および「心意気」の語形で、「いき」は明瞭に「いき」と発音される。「意気方よし」とは「行きかた善し」にほかならない。
「いき」の構造 (新字新仮名) / 九鬼周造(著)
ソコで毎月生徒のもって来た授業料をき集めて、教師の頭に四両ずついき渡ればしにはせぬと大本だいほんさだめて、その上にお余りがあれば塾舎の入用にすることにして居ました。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
親に不孝な鳥という昔話なども、とびつばめ啄木鳥きつつきその他多くの鳥類にいきわたって、ただ啼き声だけが変った点であることは、雲雀や水恋鳥の馬を殺した話も同じであった。つまりはかの
三人は妙な羽目におちいった。いきがかりじょう一種の関係で因果いんがづけられた彼らはしだいに話をよそへ持って行く事が困難になってきた。席をはずす事は無論できなくなった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
今までのいきがかりじょう堀に訳を話す。京都に対して責任を感ずべく余儀なくされている堀は、津田の窮を救う事によって、始めて父に対する保証の義務を果す事ができる。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それでなくっても先刻さっきからのいきがかりじょう、彼は天然自然の返事をお秀に与えるのが業腹ごうはらであった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)