いき)” の例文
謙作は呼苦いきぐるしい眠りから覚めた。それは花園かえんの中を孔雀くじゃくか何かのようにして遊び狂うていた鳥のつばさが急にばらばらと落たような気もちであった。彼は二三度大きくいきをしてから眼を開けた。
港の妖婦 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「しかし、長吉、その方が今まで盗みとった金は、幸いいずれも十両をこえていないからよいが、もし盗みとった財布に十両はいって居れば、その命のいきはなかったぞ。それも、覚悟の前か」
奉行と人相学 (新字新仮名) / 菊池寛(著)