意気いき)” の例文
旧字:意氣
竹童ちくどうじゅんなものだ。そういわれてまで、かれを敵視てきしする気にもなれないので、意気いきごんだ力抜ちからぬけに、またもとの堤草どてぐさへ腰をおろした。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そうだ、その意気いきだ、しっかりやれ。」と、こころなかで、酒屋さかや小僧こぞうさんに応援おうえんしながら、へい節穴ふしあなからをはなしませんでした。
日の当たる門 (新字新仮名) / 小川未明(著)
友を救うためには、自己じこ危難きなんをかえりみるべきでない、義侠ぎきょうの血をうけた富士男の意気いきは、りんぜんとして五体にみちた。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
……えゝ、もつとも、結核けつかくは、喉頭かうとうから、もうときにはしたまでもをかしてたんださうですが。鬼殻焼おにがらやき……意気いきさかんなだけうも悲惨ひさんです。は、はア。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
えりの狭い、肩のすぼけた、黒の背広服を着ていたが、しかしそれが、背が高くて、足の長い彼に、妙にシックリと合って、はなは意気いきにさえ見えたのである。
押絵と旅する男 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
意気いきでも野暮やぼでもなく、なおまた、若くもなくけてもいない、そしてばかでも高慢でもない代りに、そう悧巧りこうでも愚図ぐずでもないような彼女と同棲しうるときの
挿話 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
そして歩き付きが意気いきだわ。お前さんまだあの人の上沓うわぐつ穿いて歩くとこは見たことがないでしょう。
けれどもその国の慣れて居る人間の眼には、その煤黒い下に赤味のあるのが非常にすいとか意気いきとかいうのだそうです。これがまあ婦人の身廻りについての風俗といってよい。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
ちょっとパリジァンの意気いきな所があって、今日のチャプリンとはまた異った味いがあった。
活動写真 (新字新仮名) / 淡島寒月(著)
にも拘らず、彼の女の態度には相手を無理やりに服従させなければまない意気いきこもって居た。己は、たとえ催眠術にかゝって居なくても、かゝった真似をせずには居られなかった。
小僧の夢 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
星移れば物かわりて人情もまた従つて同じからず。吉原のおいらんを歌舞の菩薩ぼさつと見てあがめしは江戸時代のむかしなり。芸者をすいなり意気いきなりと見てよろこびしも早や昨日の夢とやいふべき。
桑中喜語 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
意気いき凛然りんぜんたる一行中尤いちじるし、木村君ははじめ一行にむかつて大言放語たいげんはうご、利根の険難けんなん人力のおよぶ所にあらざるを談じ、一行の元気を沮喪そさうせしめんとしたる人なれ共、と水上村の産にして体脚たいきやく強健きやふけん
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
鉋太郎かんなたろう意気いきごんでいいました。しかしかしらは、それにこたえないで
花のき村と盗人たち (新字新仮名) / 新美南吉(著)
しかし大抵そういう場合の舞台のすがたは何となく生気に乏しい、影の薄いものであるが、かの新蔵ばかりはいつ見ても舞台の意気いき凜然りんぜんたるものがあった。かれは魂の力で働いていたのであろう。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「待ってました! 手鍋てなべさげてもの意気いきで、ひとつ願いやすぜ」
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
この秋の徳川家司宰とくがわけしさいのもとにおこなわれる大講会をして微塵みじんにしてやろうではないか——という意気いきがあがった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
れない料理人れうりにんが、むしるのに、くらか鎧皮よろひがは附着くつゝいてたでせうか。一口ひとくちさはつたとおもふと、したれたんです。鬼殻焼おにがらやき退治たいぢようとふ、意気いきさかんなだけじつ悲惨ひさんです。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「その意気いきをもってするからには、たとえ敵陣てきじんのかこみのうちに、無念むねんおにとなろうとも、わしは心残こころのこりではない」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
背後うしろからながめて意気いきあがつて、うでこまぬいて、虚空こくうにらんだ。こしには、暗夜あんやつて、たゞちに木像もくざう美女たをやめとすべき、一口ひとふり宝刀ほうたうびたるごとく、威力ゐりよくあしんで、むねらした。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いやちっとも変らないね、あいかわらず意気いきな人さ。」
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)