“手鍋”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
てなべ71.4%
キャスロオル28.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
今しがた、この女が、細道をすれ違った時、きのこに敷いた葉を残したざるを片手に、く姿に、ふとその手鍋てなべ提げた下界の天女のおもかげを認めたのである。
小春の狐 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
幾百人かのそれらの移住者の中には「どてら」に脚絆きゃはん麻裏穿あさうらばきという風俗のものがあり、手鍋てなべげたものがあり、若い労働者の細君らしい人達まで幾人いくたりとなくその中に混っていたことを思出した。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
さればコン吉は、手鍋キャスロオルの中でられる腸詰のごとく、座席の上で転げ廻りながら、ここを先途せんどと蝙蝠傘に獅噛しがみついている様子。
ジェルメェヌ後家の約束にたがわず、この八人の悪魔の突撃隊は、毎朝六時に眼を覚まし、真紅になってわめき立て、手鍋キャスロオルをたたき、鬣狗ジャカアルのようにえ、歯ぎしりし、当歳の赤ん坊までが