呼氣いき)” の例文
新字:呼気
荷馬橇の馬は、狹霧さぎりの樣な呼氣いきかぶつて氷の玉を聨ねたたてがみを、寒い光に波打たせながら、風に鳴る鞭を喰つて勢ひよく駈けて居た。
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
停車場から宿屋まで、僅か一町足らずの間に、夜風の冷に頥を埋めた首卷が、呼氣いき濕氣しめりけで眞白に凍つた。
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
目を瞑ると、好い香のするはなびらの中に魂が包まれた樣で、自分の呼氣いきが温かな靄の樣に顏を撫でる。
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
少なからず醉つて居るので、吐く呼氣いきは酒臭い。
病院の窓 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)