かざ)” の例文
此凄まじい日に照付られて、一滴水も飲まなければ、咽喉のどえるをだま手段てだてなくあまつさえ死人しびとかざ腐付くさりついて此方こちらの体も壊出くずれだしそう。
「さあ何処やろかしらんいうて、いま相談してまんねけれど、ハッキリ何処やら分らしめへん。——お客さん、これ何のかざや、分ってですか」
蠅男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
『本草』に虎がいぬを食えば酔う狗は虎の酒だ、また虎は羊の角を焼いた煙を忌みそのかざにくんで逃げ去る、また人や諸獣に勝つがはりねずみに制せらるとある。
「ちよつとかざがしますけど、通人の食べものだつせ」
釜ヶ崎 (新字旧仮名) / 武田麟太郎(著)
そのかざぬしも全くもうとろけて了って、ポタリポタリと落来る無数のうじは其処らあたりにうようよぞろぞろ。是に食尽はみつくされて其主が全く骨と服ばかりに成れば、其次は此方こッちの番。
かざ評定をしていた近所のうるさ方一同は、突然ガラガラと開いた雨戸の音におどろいて、ハッとお喋りを中止したが、帆村が自分たちと同じように鼻をクンクンいわせているのを見上げるや
蠅男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その頃まで邦産なしと心得輸入品を用いおったが、ようやく右の地で捜し出たらしく、古人苦辛のほど察すべし。このへたばかりけばかざしきも、衆香にまじえて焼かば芳をし合香に必須だ。
「——いま警察から電話がかかってきましてん。このったいなかざがお前とこから見えてえへんか云う質問だす。こら、なんか間違いごとが起ったんですなア。やあえらいことになりましたなあ」
蠅男 (新字新仮名) / 海野十三(著)