虚誕うそ)” の例文
僕が最初篠田と山木のむすめと、不正な関係がある様に虚誕うそを報告して置いた結果で仕方ないですが——
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
君江はこれを読んだ時、何だか薄気味のわるい、誠にいやな心持がした。左の内腿に初めは一つであった黒子がいつとなく並んで三つになったのは決して虚誕うそでない。全くの事実である。
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
馬鹿にされて居ります、意気地の無い奴でござります、虚誕うそはなか/\申しませぬ、御上人様、大工は出来ます、大隅流おほすみりう童児こどもの時から、後藤立川二ツの流義も合点致して居りまする、せて
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
だから新聞の外国種が余程怪しいもんだ。畢竟ひつきやう大洞のやうな先生が虚誕うそ共喰ともぐひをしてゐるので人名地名の発音の間違どころか飛んでもない見当違ひを一向御頓着なく見て来たやうな虚誕を書く。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
し其に好都合な申告をないと、今度は警察の無能と云ふんで、我々の飯の食ひ上げになる、だから何でもいから持つて来い、虚誕うそを組立てて事実を織り出すのが探偵の手腕だと——
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
馬鹿にされております、意気地のないやつでござります、虚誕うそはなかなか申しませぬ、お上人様、大工はできます、大隅流おおすみりゅう童児こどもの時から、後藤ごとう立川たてかわ二ツの流義も合点がてん致しておりまする、させて
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)