むなし)” の例文
「故に知る。般若波羅蜜多はんにゃはらみたは、是れ大神呪じんしゅなり。是れ大明呪みょうしゅなり。是れ無上呪むじょうしゅなり。是れ無等等呪むとうどうしゅなり。く一切の苦を除く、真実にしてむなしからず」
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
又右衛門の師、柳生但馬守たじまのかみ宗矩むねのりなどはこの点に於てその妙境に到達している人である。禅でも心の無を重んじるが剣も心をむなしくする事を大切としている。
鍵屋の辻 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
もし天地間、調実コンシステントなるものひとり彼ありとせば、心をむなしうして彼の経綸策を講ずる者、あに智ならずや。
最後の勝利者は誰ぞ (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
弟の大海人は自分とは性格のまるで違つた、さつぱりつかみどころのない変物であるが、あれが欲しいといふのなら、こんなむなしい器なんぞはノシをつけて呉れてやつてもいい。
鸚鵡:『白鳳』第二部 (新字旧仮名) / 神西清(著)
来む二十一日の日曜には舟をむなしうして吾等を待てと堅く約束を結ばしめつ、ひたすらに其日の至るを心楽みにして、平常つねのおのれが為すべきわざを為しながら一日ひとひ〻〻と日を送りけり。
鼠頭魚釣り (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
されどこの怪しき身のむなしき影にあらずして、じつなる形なるはあきらかなりき。我は疲れたる腦髓に鞭うちて、強ひて思議せしめんとしたり。われは眞に既に死したるか、又或は猶生けるか。
ヨハネの所謂いはゆる悔改とは、即ち心をなほくするにあり、ヨハネの所謂道を備ふるとは、即ち心をむなしうするにあり、心を虚うする後にあらざれば、真理は望む事を得べからざればなり。
各人心宮内の秘宮 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
く一切の苦を除く、真実にしてむなしからず」といってあるのです。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
第十一講 真実にしてむなしからず
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)