すき)” の例文
たちまちすきをねらう二人ふたり曲者くせものあり。尺ばかり透きしとびらよりそっとかしらをさし入れて、また引き込めつ。忍び笑いの声は戸の外に渦まきぬ。一人ひとりの曲者は八つばかりの男児おのこなり。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
青年の時代にくある一種の迷想から、丁度一生の運命を一時のたはむれに占ふやうに見える。『イン』と受けた文平もさるもの。故意わざと丑松の方角を避けて、うろ/\する仙太のすきいた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
すべて如何いかなる惡獸あくじゆうでも、人間にんげん眼光がんくわうするどそのめんそゝがれてあひだは、けつして危害きがいくわへるものでない、そのひかり次第々々しだい/\おとろへて、やが茫乎ぼんやりとしたすきうかゞつて、たゞ一息ひといき飛掛とびかゝるのがつねだから
わたくしいま喰殺くひころされるのは覺悟かくごまへだが、どうせぬならたゞなぬぞ、睨合にらみあつてあひだに、先方せんぱうすきでもあつたなら、機先きせん此方こなたから飛掛とびかゝつて、多少たせういたさはせてれんとかんがへたので