むなしゅ)” の例文
男色を妖怪じみたものにしか解さぬ私に、その有様は笑止であったが、然し、お仕えしたい、という言葉にこもる己れをむなしゅうした心事には、胸を打たれずにいられなかった。
死と影 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
おのれをむなしゅうするものゝみが、悪党の魂に感動を与える。信長が秀吉の忠誠に見たものも、おのれを虚うするマゴコロだった。家康の同盟に見たものも、それにちかい捨身の律義であった。
織田信長 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)